虐待受けた子の被害聞き取りへ 宝塚市が司法面接の専用室設置 代表1人が対応、つらい体験を何度も思い出す負担軽減

司法面接室として利用するプレイルーム。壁面のミラーガラスを通じて別室から代表者以外の関係者が聞き取り状況を確認できる(宝塚市提供)

 兵庫県宝塚市は、虐待や性暴力を受けた子どもや障害者らの精神的負担を軽減するため、児童相談所や捜査機関が連携して代表者1人が被害状況を聞き取る「司法面接」の専用室を庁舎内に設置し、関係機関への貸し出しを始めた。阪神間の自治体では初めてという。(西尾和高)

 「司法面接」は代表者聴取とも呼ばれ、全国的に広がっている取り組み。自分の思いを的確に伝えることができない「供述弱者」が、警察や検察、児童相談所などから何度も繰り返して被害状況を聞かれ、つらい体験を思い出す二次被害を受けることを防ぐのが狙い。

 面接者は心理状態に配慮しながら、子どもらが誘導や暗示に陥らず自発的に説明できるように聞き取る。法務省の調査によると、司法面接は2017年度の767件から20年度は2124件と3倍近くに増加している。

 宝塚市は今年2月、子どもや家庭から幅広い相談を受け、関係機関と連携して支援する「たからっ子総合相談センター」を市役所第2庁舎に設置。同市でも司法面接の機会があると想定し、関係機関の要望に応じて専用室を設けることにした。

 同センター内で普段、親子らのプレイルーム(広さ約30平方メートル)と面談室(同約12平方メートル)として使っている2室を活用する。プレイルームで代表者が面接し、隣の面談室から別の関係者が聞き取り状況を確認できるようにする。ビデオカメラなどの録音録画機材も無料で貸し出し、正確な情報を把握することに役立ててもらう。

 市は「子どもらを守るための福祉的配慮として部屋の貸し出しを考えた」としている。

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