夏の暑い時期に心配なことのひとつが食中毒。
子どもにお弁当を持たせるのはちょっと心配というママも多いのではないでしょうか。
食中毒には年間を通して気を付ける必要がありますが、特に気温・湿度ともに高い夏は、その危険性が高くなるため注意が必要です。
本記事では、子どもにお弁当を作るママさんに向けて、食中毒を予防するための対策を紹介します。
夏に食中毒が起こりやすい原因と主な症状
食中毒の原因菌とされるのは、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌といった細菌やウィルス。これらは高温多湿の環境下で増殖します。
特に25〜37度くらいの温度で菌が活発になるため、夏は特に注意が必要です。
主な症状は、腹痛・嘔吐・下痢などで、人によっては発熱するケースもあります。
潜伏期間や発症するタイミングは、体に入った細菌やウィルスによってまちまちです。
早ければ原因菌が体に入ってすぐ、長いと1週間ほど経ってから症状が出ることもあります。
食中毒と思われる症状が出たら、早めに病院で診察してもらいましょう。
お弁当による食中毒を防ぐための対策7つ
お弁当は作ってからすぐに食べるものではありません。
食べるまでの間に食中毒の原因菌がお弁当内で増殖する可能性があります。
そのため、お弁当を作る際にいかに菌をつけないか・増やさないかが重要です。
以下では、食中毒の原因菌を「つけない」「増やさない」ための対策を解説します。
手を清潔にする
お弁当を調理する前の手洗いは必須です。
人間の手には特に多くの雑菌がついており、雑菌が付いた手で調理すると、それが食中毒の原因になる場合があります。
調理の前はもちろん、生の肉や魚を触った後、調理中もこまめに手を洗い清潔を保つことが大切です。
ママの中には、お弁当に入れるレシピをスマホで見ながら作る人もいるでしょう。スマホにはたくさんの雑菌が付いているので、触った後はしっかり手を洗いましょう。
そして、手を洗った後はキッチンペーパーなどを使ってしっかり水分を拭き取ってくださいね。
お弁当箱や使う食器類を消毒する
お弁当箱はもちろん、調理に使う器具類はすべて熱湯消毒するのがおすすめです。
菌が付いていた場合、熱湯消毒によって殺菌できる可能性があります。
お弁当箱は蓋と本体だけではなく、蓋部分のゴムパッキンも取り外して消毒しましょう。
耐熱温度を確認し、高温でもOKであれば熱湯をかけてください。
熱湯をかけた後は清潔な布巾で水分を拭き取り、しっかり乾燥させましょう。
なお、筆者は熱湯消毒のあと必ずアルコールスプレーを吹きかけるようにしています。
個人的に愛用しているのが「パストリーゼ」です。
食品に直接かけられるアルコールスプレーなので安心して使えますよ。
お弁当に入れるおかずにはしっかり火を通す
多くの菌は熱に弱いため、食材にしっかり火を通すことで対処できます。
目安は75度以上で1分以上加熱すること。おかずの中までしっかり火が通るように調理しましょう。
特に、大きめのおかず(唐揚げ・ハンバーグなど)は火が通りにくいので、いつもより小さめサイズにして調理するのがおすすめです。
半熟卵は、お弁当の見た目が映えるだけではなく美味しく、おかずとして人気です。
しかし、中まで完全に火が通っていないため、お弁当には入れない方が良いでしょう。
お弁当に入れて長時間持ち歩くことを考慮し、ちくわなど加熱せずに使える食材も念の為に加熱してから入れてくださいね。
おかずの水分をしっかり切る/水分が多い食材を入れない
細菌は水分が多い環境でも増殖します。
煮物はお弁当に入れたいおかずのひとつですが、汁気が多いので避けるのが無難です。
もしどうしても入れたければ、水分を吸収するような揚げ玉や鰹節を下に敷いてから詰めるなど、工夫してみてください。
また生野菜や果物も水分量が多く、夏場のお弁当に入れるのは避けた方が良い食材です。
揚げる・焼くといった調理工程のおかずが夏のお弁当にはおすすめ。
定番の唐揚げや水分が少なめのきんぴらごぼうを定番メニューにしてみてはいかがでしょうか。
おかずをしっかり冷ましてから弁当箱に詰める
作りたてのおかず・炊き立てのご飯は、しっかりと熱を冷ましてからお弁当箱に詰めるのがポイントです。熱々のまま詰めてしまうと中で蒸れてしまい、菌の大好物である水蒸気が付いてしまいます。
朝は忙しくて冷ます時間がないかもしれませんが、食中毒から子どもを守るためにも、おかずやご飯を冷ます時間をしっかり確保しましょう。
清潔な箸やスプーンを使っておかずを詰める
対策の1つ目にも書いたように、人の手には多くの菌が付着しています。
手を洗ったとしても、手で直接おかずに触れないよう詰めることで、食中毒の危険をより回避できるでしょう。
もし手で食材を触りたければ、使い捨ての手袋を使うと良いですよ。
長時間持ち運ぶ際は保冷剤・保冷バッグを活用する
夏の暑い日にお弁当を持ち歩くのは心配ですよね。
保冷剤をいくつか入れたり、保冷バッグを使ったりするのがおすすめ。
お弁当用のゴムベルトをつけたら、蓋部分と底部分の2か所に挟み込むように保冷剤を設置し、保冷バッグに入れてみてください。
意外と知らない!?お弁当作りでやってはいけないこと
実は、普段当たり前のようにやっていたことが食中毒の原因になっているかもしれません。
意外と知られていない、お弁当作りにおいてやってはいけないことを紹介します。
チャーハン・オムライスなどの混ぜご飯を入れる
食中毒対策としては、おかずにしっかり火を通すことがポイントだと説明しました。
チャーハンやオムライスは火を通して作るのでお弁当にぴったりだと思われがちですが、実は避けた方が良いメニューです。
これらのメニューにはさまざまな食材が混ざっており、時間の経過によって水分量が増えて雑菌の繁殖につながるためです。
白いご飯だと少し見た目が寂しい……と感じる人もいるかもしれませんが、その場合はふりかけなどといった乾き物を混ぜてみましょう。
でんぷん質が多い食材を使ったおかずを入れる
コロッケ・ポテトサラダは弁当の定番メニューですよね。
特にコロッケは揚げ物なので、食中毒対策メニューとして良いのでは?と思われがちです。
しかし、じゃがいもなどでんぷん質が多い芋類は傷みやすく、食中毒対策としては不向きの食材です。
作り置きのおかずをそのまま入れる
あらかじめ作っておいたおかずを冷蔵庫から出してそのままお弁当に入れるのはNG。
冷えているから保冷剤代わりになる、という考えは間違いです。
最近は、そのままお弁当に入れて自然解凍で食べられる冷凍食品が出ていますが、自然解凍で食べて問題ないのは厳しい衛生管理のもとで作られた商品だから。
家庭で同様の衛生管理をするのは無理なので、冷蔵もしくは冷凍した加熱調理済おかずは必ず再加熱してからお弁当に入れるようにしてくださいね。
参考:ESSE、YAHOO!ニュース、Adecco、農林水産省
まとめ
毎年、気温が高くなってくると食中毒が心配になりますが、お弁当を調理する際に少しの工夫と注意をするだけで、ぐっとリスクを減らせます。 お子さんに、ママの愛情がたっぷり詰まったお弁当を美味しく安全に食べてもらうためにも、衛生管理には十分気をつけて調理しましょう。 文/aeca