元民生委員の横谷義春さん(79)=兵庫県三木市=が、竹製のつえをボランティアで作り続けている。2009年から始め、これまでに約2千本を手がけた。市内の寺院や観光名所に置いているほか、四国遍路の巡礼地にも提供。高齢者が多い「お遍路さん」の強い味方となっている。(長沢伸一)
横谷さんがつえを作り始めたのは、県内の大きな寺での経験がきっかけだった。境内は広く、坂も多くて、移動するのに苦労した。「高齢になると疲れやすい。広い寺を移動するにはつえが必要だ、と思った」。鉄工所を経営していた時の技術を生かして製作に取りかかった。
最初に研磨用の機械を使って、竹の節を削る。持った時にけがをしないよう節を平らにし、ガスバーナーであぶってゆがみを修正。黒ずんだ部分はブラシで落として仕上げる。
握った時に肘が90度に曲げられるよう、長さは1メートルから1.4メートルの範囲に収まるよう気を付けている。使う人が楽な姿勢で歩けるように-との配慮だ。横谷さんは「人に使ってもらうわけやから、しっかりしたものにしないと」と笑う。
毎年200~250本を作り、老人会や知人に配ってきたほか、国史跡の秀吉本陣跡や、丹生山の入り口などにも無料で設置した。また、市内の寺院を通して、四国八十八カ所の巡礼地にも届けたという。
利用者からは「軽い」「使いやすい」と好評だという。今年も既に、約200本を製作。市内の寺院や市観光協会、市社会福祉協議会などに寄贈する予定という。横谷さんは「高齢化が進む中、移動の支えになってもらえればうれしい」と話している。