“守護神” 復活へ 広島カープ 栗林良吏 1軍復帰「信頼を取り戻す」 セ・パ交流戦へ

30日から始まるプロ野球セ・パ交流戦。広島カープ1軍には、ついに 栗林良吏 投手が復帰します。

“ カープ、選手の交代をお知らせいたします。9番・ピッチャー・栗林。背番号20 ”

勝利にチームを導く男・栗林良吏 ―。伝家の宝刀フォークボールをはじめ、全てが一級品の守護神は、2年連続で30セーブを挙げ、ことしも “絶対的存在” として腕を振り続けると誰もが信じていました。

しかし、今シーズンの栗林は、防御率5点台と安定感を欠き、3月・4月だけで過去2年間の通算を超える4敗。さらに右足の負傷により、プロ入りして初めての2軍行きとなりました。

これまでにないシーズンとなっている栗林は今、何を思うのか…。28日、本人に聞きました。

広島カープ 栗林良吏 投手
― プロに入って初めての経験・時間を過ごしているわけですけど。
「やっぱり最初の頃は気持ちをリフレッシュしながら、早く治してという感じでしたけど、今、実戦復帰してからは緊張感を持って、早く(1軍に)上がれるようにっていう気持ちでやっています」

― 開幕してからなかなか1軍でご自身の投球ができなかった時期が続いていて、当時、どんな状況でしたか?
「最初の方は、2年目の最初もくじいたので、ここから巻き返せればなんとかなると思ったんですけど、それがなかなかうまくいかなくて、結局、自分のピッチングができないのか、球は行っているはずなのに打たれちゃうっていう感じだったんで、もどかしい気持ちと、ほかのピッチャーがよかっただけにすごく迷惑をかけちゃっているなっていう気持ちが本当、弱気、弱気になっていたっていう感じです」

― ことし、うまくいかなかった原因は?
「オフシーズンから取り組んでいたフォームが結果的に違うところに影響が出ちゃったっていうのか…」

栗林は、去年の秋のキャンプからセットポジション時のグローブの向きを変更。その際、無意識のうちに足の歩幅が変わってしまったことが不調の原因だったといいます。

栗林良吏 投手
「結果的にバッターに見やすい球になってしまったっていうのが、1個押し込めない球になってしまったっていうのは、思っています」

不調の原因を突き止めた栗林は、すぐさま修正を図りますが、急なフォーム変更は右足への負担が大きく、けが(右内転筋筋挫傷)につながってしまいました。

しかし、このけがというのは、体がうまく使えている証拠だと前向きにとらえています。

栗林良吏 投手
― ご自身でしっかりと体が逆に使えるようになったからこその痛みになってしまった?
「そうですね。右足が使えているぶん、痛めちゃったっていうのもありますし、自分がサヨナラホームランを打たれた、落ちた試合もありますけど、あれも最初の(巨人・)秋広(優人)くんと丸(佳浩)さんには自分が思ったフォークも投げられて、真っすぐでもファウルが取れているという形だったので、本当によくなってきている段階でああいうことになってしまったって感じです」

プロ3年目で初めてのけが、そして、2軍行きとなった栗林ですが、この経験から得た新たな収穫もありました。

栗林良吏 投手
「2軍に落ちたときにちょうど(大瀬良)大地さんが、まだ2軍にいた時期だったので、大地さんから声をかけてもらって、今、本当、野球から離れてというか、『せっかく、こういう貴重な時間をいただいているから、本当、自分のことだけ考えてやるといいよ』と言われて。それを言われたときに結果を出さなきゃとなっていたのが、ちょっとほぐれたっていうのか…」

― プロに入って3年目で初めて自分の体ともう一回、向き合う時間ができた?
「そうですね。それもそうですし、客観的に野球を見るというのか、今回は自分の家でテレビで見るっていう本当に客観視して、ファンの気持ちで見た感じだったので、そういう意味では本当、いい時間だったかなと思います」

順調にけがから回復した栗林は、25日、抹消後、初めての実戦登板に臨みました。結果は、1安打・無失点。フォークの落ち方に少し課題を残すも、マウンドで投球する姿に、駆けつけた多くのファンから温かい声援を受けました。

栗林良吏 投手
「『応援してるよ』だとか、『早く戻ってきてね』とか、そういう温かい言葉をかけてもらいましたし、自分としてもすごい力になりましたし、やっぱり、もう一度がんばって、こうやって応援してくれるファンのみなさんの笑顔を届けられるようにがんばりたいなとすごく思いました」

完全復活を遂げ、いざ、交流戦へ―。再び “クローザー” として君臨すべく、心を燃やす栗林が、1軍の舞台で勝利を呼び込む1球を投じます。

栗林良吏 投手
「やっぱり自分は、入団してからこのポジションを任させてもらえたので、そこに対しての気持ちっていうのは強いですし、やっぱりそこで投げたいって、この2軍の期間で強く思ったので、そこはしっかり伸ばして、でも、やっぱり、ここは信頼を取り戻して、取りにいくポジションと思うので、しっかり信頼してもらえるようにがんばっていきたいなと思っています」

◇ ◇ ◇

石田充 アナウンサー
ついに帰ってくる男の今の気持ちだったんですけれども…

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
まだ、3年目なんですよね。即戦力で入ってきてはいるんですけれども、プロを3年しか経験していない選手が、今のインタビューを聞くだけですごいものを背負っていたんだなと感じると、大瀬良投手の言葉というのはすごく響いたと思いますし、本人が帰ってきてから、どういう起用法をされるかわからないですけれども、
いやあ、本当にやっと上位2チームを追いかける体制ってのができつつあるなというふうに感じます。

石田アナ
確かに “守護神” ですぐに起用されるのか、それとも 矢崎拓也 投手・島内颯太郎 投手・ターリー 投手らが今シーズン、セーブを挙げているので、どこで投げるのか、9回以外の栗林投手があるのかどうかも天谷さん、気になりますね。

天谷宗一郎 さん
気になるんですけども、やっぱり “クローザー” の栗林投手が早く見たいなと思います。

河村綾奈 アナウンサー
すっかりこの3年で定着しましたし、『信頼を取り戻す』っておっしゃってましたけど、全然、信頼は損なっていない、わたしたちはずっと信じていますよってお伝えしたいです。

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビ 5月29日放送より)

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