【生活保護費】引き下げ取り消し求めた裁判 原告・受給者の訴えを認める判決 30日(静岡地裁)

国の基準の改訂に伴い、自治体が生活保護費を引き下げたのは違法だとして、静岡県内に住む受給者6人が自治体を相手取り、引き下げの取り消しを求めていた裁判で、静岡地裁は30日、原告の訴えを認める判決を言い渡した。

訴えていたのは、県内に住む生活保護の受給者6人。訴状によると原告側は、国が2013年から段階的に生活保護費の基準を変更し、それにのっとり自治体が支給額を引き下げたのは違法で、憲法第25条に定められる「健康で文化的な最低限度の生活」ができなくなったと主張、減額措置の取り消しを求めていた。

生活保護の基準額は物価が下落したことなどを理由に、厚生労働省が2013年から3年間かけて段階的に平均6・5%引き下げ、約670億円を削減していた。30日、静岡地裁で開かれた判決。

(杉本 汐音 記者)

「原告側が勝訴となりました、保護引き下げの違法性を認めたという事です」

30日の判決で、菊池絵理裁判長は「厚生労働大臣の判断過程には過誤、欠落があるものといわざるを得ず、裁量の逸脱または濫用が認められ、生活保護法に反し違法である」などとして原告の訴えを認めた。この判決を受けて原告側の弁護団は、会見で改めて訴えの正当性を主張した。

(大橋 昭夫 弁護士)

「非常に重い裁判、政府の決めたことに対して異を唱えた、民衆の裁判」「その裁判に勝てたいうことは、なかなかない」

原告側の弁護士によると、同様の裁判は全国各地で起こされていて、支給額引き下げを取り消す判決は26日の千葉地裁に続き今回の判決で11件となっている。

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