秦野・上秦野神社の木製プロペラ 大正期製造、旧陸軍戦闘機用と判明 「技術革新の歴史伝える貴重な史料」

拝殿のはりにくくり付けられた「木製プロペラ」=秦野市菖蒲

 秦野市菖蒲の上秦野神社にある木製プロペラが、100年前の大正時代に作られ、旧陸軍の戦闘機に用いたとされることがNPO法人「秦野歴史おこしの会」の調査で判明した。会員の岩田宇一さん(77)は「技術革新の歴史を後世に残してくれている貴重な史料」と目を輝かせる。

 プロペラは全長2.5メートルで、中央部には「大正12(1923)年7月製作」「二式29型 イ式300馬力 14 友」と刻印されている。

 同会によると、旧陸軍が採用したフランス製「二式29型戦闘機」に使用されたと見られ、同機は同年12月には日本でのライセンス生産が始まったという。

 同会が調査を始めたのは2021年11月、「木製プロペラがあるらしい」と話題に出たことからだった。プロペラは神社の拝殿のはりにくくり付けられており、はりから降ろした翌22年2月の本格調査で同刻印が発見された。

 刻印を頼りにネットで検索した上で、当時受注製作していたとされる「ヤマハ」(静岡県)や「所沢航空発祥記念館」(埼玉県)に問い合わせるなどし、同戦闘機のものと判明した。

 調査結果に同神社関係者らも驚き、元総代代表の熊澤嘉孝さん(77)は「現存する技術もすごいが、製作の十数年後の戦時中には金属のプロペラも用いられていて技術の進化も感じる」とうなずいた。

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