核ごみ最終処分場調査 市長が改めて懸念表明 長崎県対馬市

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定調査を巡り、長崎県対馬市内で賛否が割れている問題で、比田勝尚喜市長は30日の定例記者会見で「自然環境や農林水産業関係で心配する面がある」などと調査による影響に改めて懸念を示した。
 選定の第1段階となる文献調査を巡っては、賛否双方の請願が6月開会の定例市議会に提出される。比田勝市長は「議会での議論がある中、先走ったことは言えない」として、どう対応するかを明確にしなかったが、「(議会が)いずれの判断であれ、最終的には私は私の判断をせざるを得ない」と述べた。
 文献調査は2年程度で、受け入れた自治体などには最大20億円が国から交付される。以降は概要調査(4年程度)、精密調査(14年程度)と続く。比田勝市長は「文献調査をいったん受け入れたら(交付金を受け取って)途中でやめることはできない」と強調。交付金による雇用創出に期待する声に対し「決して甘くない。20億円は『マックス』であり、(国が)関係自治体に回す可能性もある」と慎重姿勢をにじませた。
 記者から「被爆県の立場を今後考慮するか」と尋ねられると、同市が「非核宣言自治体」である点を挙げ「(考慮の材料に)なるだろう」と述べた。いずれ大石賢吾知事と話し合う考えも示した。

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