右半身にまひ、河合美智子さんが装具のモデルに 義肢装具士目指す学生に協力「歩きやすく感じた」 三田

歩きながら装具の効果を確かめる河合美智子さん=三田市福島

 神戸医療福祉専門学校三田校(兵庫県三田市福島)で義肢装具士を目指す学生たちの授業に、俳優の河合美智子さん(54)=同県豊岡市=が参加した。脳出血を患い、右半身まひが残る河合さんらがモデルを務め、手足のまひなどを軽減する装具の効果を確かめた。(尾仲由莉)

 義肢装具士は義足や義手、装具を製作するための国家資格。同校では、教員が東京パラリンピックに義肢装具士として派遣されたり、県立コウノトリの郷公園(豊岡市)と連携して片脚を失ったコウノトリの義足を作ったり、さまざまな取り組みをしてきた。

 NHKの連続テレビ小説「ふたりっ子」の演歌歌手「オーロラ輝子」役などで知られる河合さんと同校の出合いは、2019年2月。整形靴科の卒業制作展が行われていることを新聞記事で知り、制作展を訪れた。「足をしっかり支えてくれるのに、おしゃれでかわいい」と整形靴のとりこになった。その後、同科から頼まれて3回整形靴のモデルを務め、自宅には12足ほど学生作の靴があるという。

 2年制の整形靴科は昨年で募集が終了し、整形靴のモデルは今年が最後になる。河合さんは「整形靴専門の科がなくなるのは残念だけど、義肢装具士もまだまだ少ないので協力したかった。一般の人にも装具の存在を知ってほしい」と装具のモデルを初めて務めた。

 今回の授業では、脳の病気で手や足にまひがある3人を招き、1人につき学生5、6人のグループが模擬形式で問診を行った。一人一人の症状や使用している装具などを聞いた後、モデルの手足を触り、関節の動きや筋力を確認した。最後は実際に装具を着けて歩いてもらい、はだしで歩いたときとの違いを目で確かめた。

 右半身にまひが残る河合さんは、今もじゅうたんのような小さな段差にもつまずき、右足に体重を乗せるのが怖いという。「装具を初めて着けた時はむしろ歩きにくくて、これまで整形靴だけを使ってきたが、今回は歩きやすく感じたものもあった」と話した。

 義肢装具士科3年の女子学生(20)は「普段は教科書など2次元で学んでいることを3次元で知ることができた。今後はより患者さんの状態などを意識して勉強していきたい」と話した。

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