小中学校の校庭から大量のくぎ…埋まっていた“危険”は他にも…

さび付いた大量のくぎ。これらはすべて、杉並区にある小学校の校庭で見つかったものです。取材を進めると、くぎが埋まっていた背景、そして、埋まっていた危険がくぎだけではないことが明らかになりました。

杉並区の小学校では4月13日、児童が体育の授業中に転倒した際、地面から突き出たくぎで十数針を縫うけがをするという事故が起きました。校庭の調査を実施した結果、これまでに544本のくぎなどが見つかっています。この事故を受け、杉並区は土の校庭をもつ区内63の小中学校で金属探知機による調査を開始。5月25日、杉並区の別の小学校で行われた調査に同行しました。

記者:「金属探知機による調査が始まっています。4メートルの幅のロープの間を、4人の作業員が漏れがないようにチェックしています」

調査の撮影を始めると、すぐに探知機に反応が。見つかったのは、長さ約12センチのU字型のくぎでした。その後も校庭の至るところから同様のくぎが次々と見つかります。7時間ほどの調査で見つかったくぎは265本に上りました。杉並区ではその他の小中学校でも調査を行い、5月30日までに6673本のくぎなどが見つかっています。

なぜ小学校の校庭に大量のくぎが埋まっていたのでしょうか。学校の安全に詳しい専門家は、長年にわたる見落としが大量のくぎにつながったと分析します。

専門家:「体育の授業の中でもいろいろな競技種目があって 部活動もある、あるいは運動会、その目印としてくぎが使われていた。それが地面に埋め込んであったりすると、なかなか気づかない。一応チェックはしているが見落としてきた」

現役の教員の話を聞くと、くぎを回収する場合、巻きつけられたテープを目印に1本1本手作業で抜いているといいます。杉並区の教育委員会は目印のテープが切れ、くぎの位置がわからなくなり、そのまま放置されていたとみています。

教育委員会 青木さん:「まさか残っているという発想がなかったので、それでけがをした児童が出てしまった。本来校庭には残っているべきではない。残っていてはいけない」

さらに今回の調査では、くぎ以外の危険物も見つかりました。いくつも見つかった、鉄筋や水道管などの金属部品やごみ。その数は21個に上りました。区の教育委員会によりますと、学校で工事を行った業者が余った廃材などを校庭に埋めていった可能性があるということです。

専門家は、こうしたくぎや廃棄物の危険は、学校だけではなく地域を巻き込んだ点検が必要だと指摘します。

専門家:「まず校庭にくぎが埋め込んである。すごく危険だよねと考え始めるところ。いまようやくそのスタートラインに来たところ。広い校庭に埋め込んであるくぎを教員だけに見つけさせるというのは、なかなか現実的に難しい。ぜひ地域の皆さんの力を借りながら、子どもの安全を守っていく仕組み作りが必要」

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