戦前の金沢映すポスター 百万石まつり前身「商工まつり」 

第2回商工まつりのポスターを示す伊藤さん=金沢市内

  ●伊藤さん所蔵「歴史物語る資料」

 6月2~4日に開催される第72回金沢百万石まつり(北國新聞社特別協力)を前に、同まつりの前身として太平洋戦争前に開催されたイベントのポスターが金沢市内で見つかった。1937(昭和12)年に開かれた第2回「金沢商工まつり」を宣伝する1枚で、所蔵する金澤ふるさと倶楽部(くらぶ)代表、伊藤正宏さん(76)=同市神宮寺1丁目=は「まつりの歴史を物語る貴重な資料だ」と話している。

 商工まつりは1936(昭和11)年4月、合併により「大金沢市」が誕生した節目に初開催され、38年まで3回行われた。戦後の52年、市と金沢商工会議所が中心となって復活させ、これが「金沢百万石まつり」として現在に至っている。

 伊藤さんが見つけた37年のポスターは、福引の鈴を大きくあしらった構図が特徴で「全市大売出し 催物続々」の文字が躍る。戦後の百万石まつりのポスターも多数所蔵する伊藤さんは「戦後とは雰囲気やデザインが異なり、時代を感じさせる」と話す。

 伊藤さんによると、ポスター以外に戦前のまつりに関する資料はほとんど確認されていない。北國新聞の記事によると、36年の第1回商工まつりでは、兼六園内で芸妓(げいこ)の手踊りが披露され、夜には出羽町練兵場や犀川の河原で花火が打ち上げられた。

 撮影年は不詳だが、料理店「魚半」(金沢市香林坊2丁目)に伝わる戦前の映像には、市内の中心部を練るまつりの広告行列が写っている。

 伊藤さん方にはポスターのほか、大金沢市誕生を記念して36年に作られた「大金沢行進曲」のレコード、この曲の歌詞が載った金沢医科大(現・金大医学類)の38年の卒業アルバム、大金沢市が発足した36年4月1日付北國新聞もあった。

  ●2日から開催

 2日に開幕する今年の金沢百万石まつりは、新型コロナによる規制が緩和され、4年ぶりの通常開催となる。メイン行事の百万石行列は3日に行われ、加賀藩祖前田利家公役を歌舞伎俳優の市川右團次(うだんじ)さん、お松の方役を俳優の紺野まひるさんが務める。

戦前の金沢商工まつりの風景(「魚半」提供の動画から)

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