那須・鹿の湯で伝統の「湯もみ」 唄口ずさみ、入浴客に披露

鹿の湯でお披露目された湯もみ=31日午前11時5分、那須町湯本

 栃木県那須町湯本の鹿の湯で31日、大正後期から続く「湯もみ」の一般公開が始まった。同温泉の湯もみ保存会会員が伝統の湯もみ唄を披露し、湯をかき回した。

 湯もみはかつて地元民宿街の女将(おかみ)らが担ったが、後継者不足のため2013年、観光ボランティア有志が保存会を結成して受け継いでいる。今年も11月まで毎月、最終水曜の午前11時に公開する。

 この日はかすり着姿の会員10人が鐘の音を合図に男湯、女湯を訪問。「那須はよいとこ、後ろに茶臼」などと地元の情景を盛り込んだ約7分間の唄を口ずさみ、湯もみ板を動かした。

 保存会の斎藤留美子(さいとうるみこ)会長(74)は「伝統の唄を後世に残したい」と話す。神奈川県藤沢市本鵠沼、主婦石渡陽子(いしわたりようこ)さん(46)は「風情があってすてきでした」と喜んでいた。

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