夢破れたアスリートにセカンドキャリアを 元オリックス職員らが支援団体、ビジネスを基礎から学んで

アスリートのセカンドキャリア支援を始める一般社団法人の(左から)辻純治理事、角野大輔理事長、福本豊アンバサダー、楠淳生理事=大阪市内

 プロ野球の元球団職員やテレビ局の元実況アナウンサーらが一般社団法人を立ち上げ、現役引退後にビジネススキルを学べないまま社会に出るケースが目立つスポーツ選手のセカンドキャリア支援に乗り出した。法人名は「アスリートの羅針盤」。大阪を拠点に基礎が身につく計15回のセミナーを受けてもらい、企業に送り出す。

 「何とかしたい、救済したいと思ってきた」

 2019年までオリックスで働いた辻純治さんは、若くして戦力外通告を受け、路頭に迷う選手を見てきた。同じ問題意識を持つ建設会社経営、角野大輔さんから相談を受け、法人の設立を準備。元朝日放送テレビの楠淳生さんも加わった。

 理事長に角野さん、理事に辻さんと楠さんが就き、5月22日に大阪市内で会見した。阪急OBで「世界の盗塁王」の福本豊さんも法人のアンバサダーとして出席した。

 元アスリートの就職支援の動きは他にもあるが、辻さんは「レアなのはセミナー。基本中の基本を寺子屋形式で学んでもらいたい」とPRする。講座は3カ月かけて15回行い、税理士による資金運用や楠さんによるコミュニケーション術のほか、転身に成功した元選手の体験談も聞ける。オリックスや阪神で活躍し、兵庫県西宮市内で鶏料理店を営む葛城育郎さんらが登場する。

 初回は7月3日。原則35歳までとし、競技の種類や戦績は問わない。受講料は15回で3万円。アスリートの羅針盤の公式ウェブサイトで受け付け、就職口の候補となるスポンサー企業も募る。(有島弘記)

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