ブロンド・レッドヘッド、9月発売の10thアルバムより「Snowman」公開

ブロンド・レッドヘッドが、2014年以来となる自身10枚目のアルバム『シット・ダウン・フォー・ディナー』より「Snowman」を公開した。

アルバムのオープニング・トラック「Snowman」のボーカルのレイヤーは、スウィングル・シンガーズのバッハのアカペラ演奏にインスパイアされている。「私たちには守り続けてきた言語がある。私たちはリズムやコンセプト、サウンドを変えようとすることはある。でも、そのハーモニーの感性は、ずっと変わっていない。それは、あなたの心の同じ部分を打つ」とカズ・マキノは語る。

また、アメデオ・パーチェによる同曲のグルーヴとコード進行は、ブラジルのエクスペリメンタル・ミュージックにインスパイアされたブロンド・レッドヘッドの多くの曲のひとつだ。モンテローザ山中でバスに揺られ、乗り物酔いと闘いながら「Snowman」を書いたというアメデオは、「2つのコードと、その間を行き来するようなメロディーを持つ曲を書こうと思い立った」と同曲について話している。

5年間をかけて書かれ、レコーディングされた『Sit Down for Dinner』は、完璧な構成を持ち、繊細さと明晰さ、そして決意がこもった作品だ。アルバム全体を通して、控えめでありながら直感的なメロディが、大人になってから避けられない葛藤(永続的な関係におけるコミュニケーションの断絶、どちらに向かえばいいのか悩むこと、夢を持ち続けること等)を描いた歌詞に箔をつける。

2020年春、マキノはジョーン・ディディオンが2005年に発表した回想録『The Year of Magical Thinking』の、食卓で夫の急死を目撃したときの衝撃的な体験を振り返る一節に出会う。パンデミック初期の不安の中、遠く離れた日本にいる自分の両親のこと、当時失われてしまった家族と夕食を共にする儀式のこと、そして、私たちの誰もが一瞬にして人生が変わってしまうというヘヴィーだが遍在する感覚について、マキノは考えていた。そして、この作品には、「Life changes fast. Life changes in the instant. You sit down to dinner and life as you know it ends.(人生は急速に変化する。人生は一瞬で変わる。御存知の通り、夕食の席で人生が終わる)」という、アルバムのタイトルにもなっている一節が存在する。

同時に、このアルバムはパーチェ兄弟にとっては、別の響きを持つものでもある。文化的に、夕食は彼らにとって譲れない家族の儀式であり、トリオはリハーサル中やツアー中にそれを実行した。「多くの人は、パッと食べたり、TVの前で食べたり、(夕食を)あまり気にしていないでしょう。確かに、それでもいいと思う。でも、この時間は、僕達にとっては、腰を落ち着けてお互いの時間を過ごすためのものだ」とシモーネは語る。

◎リリース情報
アルバム『シット・ダウン・フォー・ディナー』
2023/9/29 RELEASE
S003-2J

© 株式会社阪神コンテンツリンク