この夏、Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手たち(2023年/J1編)

近年猛威を奮っていた新型コロナウイルスの位置付けが5類へと移行され、街に人々の賑わいが戻ってきた今日この頃。スタジアムでも入場制限が撤廃され、多くのサポーターの熱気が感じられるようになった。

そんな盛り上がりを見せる今夏に更なる熱気を与えそうなのが「フットボールの移籍市場」だ。

近年は中国のサッカーバブルが弾けた一方、MLSやサウジアラビアで活発なディールが目立つ。メキシコも「選手が出ていくリーグ」から「選手が来るリーグ」へと変わりつつある印象を受ける。

Jリーグでは先日、ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタの退団が決定。寂しさは残るが、ACLでの外国籍選手枠が増えることもあり、更なる大物・優秀な外国籍選手の加入に期待がかかる。

そんな夏にJリーグにやって来そうな外国籍選手達。今回は「J1クラブ編」「J2〜J3クラブ編」の2つに分けて紹介したい。

今回はJ1クラブ編。熟考の末に選び抜いた総勢10名、ぜひご覧ください。

ルシアーノ・ビエット

Luciano Darío Vietto

国籍:アルゼンチン
ポジション:FW
年齢:29歳
所属:アル・ヒラル(KSA)

ボールを引き出す動きに長け、多くの得点シーンを演出する10番タイプのストライカー。

かつてはスペイン1部リーグのビジャレアルやアトレティコ・マドリーなどで活躍。身長は174cmと小柄ながら、相手に掴みにくい動きをもって前線でタメを作り、攻撃に彩を与える。セットプレーのキッカーとしても優秀なほか、単なる司令塔タイプではなく、得点能力も高い。

2021年から加入したアル・ヒラルではここ2シーズン、10番を背負いプレー。今季は主に1トップやトップ下として19試合に出場し3ゴールを挙げた。ポゼッション戦術を採用するヒラルではMFサルマン・アル=ファラジやモハメド・カヌらと良い連携を見せていたが、外国籍枠が国内リーグよりも限られた今季のACL決勝や、3トップを採用した試合では決定力で分がある元ナイジェリア代表FWオディオン・イガロの後塵を拝した。

アル・ヒラルは今オフに大物外国籍選手の獲得に動いており、今シーズン限りで契約が満了するビエットの退団は確実。既に古巣のビジャレアルCFを含めた世界各国のクラブから関心を集めているとされる。

現時点でJリーグ入りの噂はないが、攻撃の質を高める最高級クラスの助っ人としてビッグクラブがリストアップしている可能性は十分ありうる。推定年俸は3億~5億円。今夏の移籍市場における注目選手の一人だ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

チョン・ウヨン

Jung Woo-young / 정우영

国籍:韓国
ポジション:MF
年齢:33歳
所属:アル・サッドSC(QAT)

京都サンガF.C.、ジュビロ磐田、ヴィッセル神戸などでプレーしたことでお馴染みの大型セントラルMF/センターバック。

2018年夏からプレーするカタール・スターズリーグの名門アル・サッドSCでは現役最晩年のMFシャビ(現バルセロナ監督)らと共に中盤を構成。2度のリーグ優勝に貢献した。186cmの身体能力を生かしたディフェンスと強烈な直接FKが武器だ。

今シーズン限りで契約が切れるアル・サッドはシーズン中から契約更新の話を先延ばしたことから巷では「ウヨンは新たなアジア枠選手獲得のために放出されるのでは?」との噂が挙がっていた。現にサッドはシーズン終了後、イラン1部リーグのフーラード・フーゼスターンからU-20イラン代表DFアミン・ハズバヴィ(20)を獲得。チョン・ウヨンの退団は既定路線となっている。

CBとセントラルMFをこなせる万能性と豊富な経験は魅力的。獲得に名乗りを挙げるJリーグのクラブは出てくるだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

トム・グローヴァー

Tom Glover

国籍:オーストラリア
ポジション:GK
年齢:24歳
所属:メルボルン・シティ(AUS)

東京五輪にも出場したオーストラリアが誇る実力派GK。

2014年にイングランドへ渡り、名門トッテナム・ホットスパーのアカデミーに加入。元U-18日本代表MFサイ・ゴダード(デトロイト・シティ)らと共にプレーした。

その後はいくつかのクラブへのローン移籍を経て、2019年に母国リーグのメルボルン・シティへ移籍。現在まで正GKとして活躍。幼少期に熱中していたバスケットボール仕込みのハイボール処理に加え、リーチの長さを生かしたセービングも光る。

メルボルン・シティとの契約は今シーズン限りで、現地メディアでは欧州リーグ復帰の可能性が盛んに取り沙汰されている。欧州復帰が既定路線だが、ACL制覇を目指すアジアのクラブがアジア枠として獲得レースに横槍を入れる可能性も少なくない。

プレースタイルを考慮してもJリーグは最適な環境だと思うが果たして…。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

マルク・ムニエサ

Marc Muniesa Martínez

国籍:スペイン
ポジション:DF
年齢:31歳
所属:アル・アラビ・ドーハ(QAT)

ビルドアップ能力に優れた左利きのセンターバック。

名門バルセロナのカンテラで育成され、年代別のスペイン代表としても活躍。2013年にはGK ダビド・デ・ヘアやMFティアゴ・アルカンタラらと共にU-21欧州選手権優勝に貢献した。

プロ入り後はバルセロナで芽が出ず、ストーク・シティ、ジローナを経て2019年にカタール・スターズリーグのアル・アラビ・ドーハへ加入した。

アル・アラビでは約3年間レギュラーとして活躍するも、既に今シーズン限りでの退団が決定済み。Jリーグにはかつてバルセロナのカンテラで将来を嘱望された選手が何人かやって来ており、年齢を考慮しても彼がJリーグへやって来る可能性は十分ありえるだろう。

過去にやって来たバルセロナOBの選手達に漏れず、負傷がちのリスクは気になるが、後方からの組み立てにはうってつけのタレントだ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

オーレ・セルネス

Ole Kristian Selnæs

国籍:ノルウェー
ポジション:MF
年齢:28歳
所属:FCチューリッヒ(SUI)

ノルウェー代表32キャップを誇る、187cmと大型で左利きの守備的MF。

フランスのASサンテティエンヌでブレイクし、2019年から中国スーパーリーグに所属する深圳FC、河北FC(※現在は消滅)で10番を背負いプレー。その後クラブの給与未払いを理由に退団し、現在はスイス・スーパーリーグのFCチューリッヒで活躍している。

中盤の底からゲームを安定させるアンカーとしての役割が本職で、正確なパスとボール奪取能力に優れる。

チューリッヒとの契約は今シーズン限りであり、今夏はノルウェーリーグ復帰が噂されている。中国でやや伸び悩んだ感もあるが、実力は申し分なく、今夏は各国のクラブ間で争奪戦が起きそう。

ポゼッション戦術を採用するJリーグのクラブも獲得レースに参加する可能性が高いといえるだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

フランシスコ・ジェラウデス

Francisco Oliveira Geraldes

国籍:ポルトガル
ポジション:MF
年齢:28歳
所属:GDエストリル・プライア(POR)

ポルトガル1部リーグのエストリルで10番を背負う司令塔タイプのMF。U-21ポルトガル代表歴を持ち、過去にはドイツのアイントラハト・フランクフルトやギリシャのAEKアテネにも在籍した。

左右両足から繰り出される精度の高いスルーパスが持ち味で、ポルトガル人選手らしい卓越したテクニックも併せ持つ。

今シーズンはエストリルで25試合4ゴール。既に今季限りで契約が満了し、退団する趣旨の記事が現地メディアから出ている。

近年のJクラブはポルトガルリーグから外国籍選手を多く獲得する傾向にあり、実績やパフォーマンスなどから彼をリストアップするJクラブがあってもおかしくはないだろう。

一見すると才能がありながら癖のある選手のように見受けられるが、セレッソ大阪のMFジョルディ・クルークスのようにクラブの戦術にマッチすれば大化けも期待できるだろう。ボールの収めどころを欲しているクラブにはおススメである。

【Jに来るかも知れない度】★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★

キリアコス・パパドプロス

Kyriakos Papadopoulos / Κυριάκος Παπαδόπουλος

国籍:ギリシャ
ポジション:DF
年齢:31歳
所属:PASラミア1964(GRE)

若くしてドイツ・ブンデスリーガのシャルケ04へ移籍し、レヴァークーゼン、ハンブルガーSV、ギリシャ代表としても活躍した183cmのCB。空中戦を含めたフィジカル全般に優れており、豊富な経験に裏打ちされたボール奪取が光る。

近年はクロアチア、サウジアラビア、ギリシャ、ルーマニアと様々なクラブに在籍。期待されたキャリアを送っているようには見えないかもしれないが、2年前の2021年には約3年ぶりのA代表復帰を果たしている。鳴かず飛ばずだった数年前よりもパフォーマンスが向上している印象で、今季から加入したラミアでは守備の牽引役としてとしてクラブを見事1部残留へ導いた。

契約は今季限りであり、今夏はフリーとなる。守備の建て直しのために獲得に動くJリーグのクラブも出てきそうだ。海外生活が長かったせいか、英語が堪能。通訳の費用の面でもお得な選手である。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

カルロス・エドゥアルド

Carlos Eduardo Ferreira de Souza

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:26歳
所属:GDエストリル・プライア(POR)※SEパルメイラス(BRA)からのローン

高速ドリブルが光るブラジル人ウィンガー。

ゴイアスの下部組織で育成され、その後サウジアラビア・スポーツ局のトゥルキー・アル・シェイク局長に買収されたエジプト・プレミアリーグのピラミッズFCに21歳の若さで青田買いされた経歴を持つ。

現在は名門パルメイラスからのローンでポルトガルのエストリルに在籍中。重心が柔らかく、相手の裏をかいたドリブルやゴール前への抜け出しが武器のウィングストライカーだ。

初の欧州挑戦は12試合2ゴールと目立った輝きを見せられず。ブラジルメディアでは「ローン終了で、一度パルメイラスへ戻ることになる」と報道されている。ただ、復帰してもレギュラーポジションを掴めるかは難しいところだ。

契約をあと1年残していることから、買取オプション付きのローンで他クラブへ移籍する可能性が高い。今のところJリーグ入りの噂はないが、局面打開に優れたタレントを求めるクラブの強化関係者の目に留まっていることは十分考えられる。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

サンディ・ウォルシュ

Sandy Walsh

国籍:インドネシア
ポジション:DF
年齢:28歳
所属:KVメヒェレン(BEL)

ベルギー1部リーグのKVメヒェレンで活躍する185cmの大型右サイドバック。

6つの国(ベルギー、イングランド、アイルランド、スイス、オランダ、インドネシア)にルーツを持ち、アンダー世代はオランダ代表を選択。2012年にはU-17オランダ代表の一員として欧州選手権を制した。

その後、昨年11月に母方のルーツであるインドネシアの市民権を取得。直後のAFF三菱電機カップは負傷で欠場したものの、6月に行われる予定のアルゼンチン代表戦は招集予定とのこと。

サイズのある右サイドバックで、縦への推進力はアジアの選手では屈指のレベル。現時点でJリーグ入りの噂はないが、提携国枠で獲得出来るメリットは大きい。

インドネシア国内では日本の野球界でいうラース・ヌートバー的存在であり、海外のトップリーグで活躍する自国の選手として人気がある。クラブの国際知名度アップを狙う意味でも一石二鳥な補強と言えるだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

ペドロ・エンリケ

Pedro Henrique Alves de Almeida

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:26歳
所属:SCファレンセ(POR)

ポルトガル2部リーグで活躍する188cmの大型ストライカー。年代別代表選出歴はないが、かつてポルトガルの名門ベンフィカのセカンドチームに在籍した経歴を持つ。

屈強なフィジカルを生かしたポストプレーで前線の起点となるほか、利き足の左足から繰り出される強烈なシュートも魅力だ。

今シーズンはファレンセでリーグ戦30試合に出場。8ゴールを挙げクラブの1部昇格に貢献した。クラブとの契約は今季限りであり、来シーズンの動向は未定となっている。

今夏は欧州も含めた数多くのクラブが獲得に動きそうだ。国際的な知名度はないものの、今後大化けしそうな素質を持った原石である。

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【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

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