条例に「文化観光」明記を 県成長戦略会議で提言

県成長戦略の素案を審議した有識者会合=金沢市内のホテル

  ●基金積み増し、助成対象拡大も

 石川県政の基本的な方向性を示す県成長戦略の策定を担う有識者会議は1日、金沢市の金沢東急ホテルで第3回会合を開き、戦略の素案を審議した。会長を務める一般財団法人県芸術文化協会の飛田秀一会長(北國新聞社会長)は「文化立県としての高みを目指す上で、県文化振興条例と文化振興基金の充実を検討すべきだ」と述べ、条例に「文化観光」を明記することや、基金の積み増し、助成対象の拡大を提言した。

  ●馳知事、前向きに検討

 提言を受け、馳浩知事は条例の改正を検討する意向を示した。基金に関しては「団体だけでなく市町主体の文化事業もある。行事や祭りの持続可能性を考えた場合に助成対象の拡大は必要だ」と理解を示し、積み増しも検討するとした。

 飛田会長は、50団体が加盟する芸文協会長、文化を生かした誘客を目指す県観光連盟会長の立場から、文化振興条例が施行された2015年時点では文化観光の理念が一般的ではなかったため、条文にも記載がないと指摘。成長戦略を県議会9月定例会に提案するのに合わせ、条例も改正し、文化観光を一層推進するよう県側に求めた。

 文化団体と若手芸術家の活動を支援している文化振興基金については、19市町や企業、大学に対象を広げることを提案した。対象が広がれば現在の120億円から基金の積み増しが必要になるとし、「文化観光の柱の肉付け、修正をしてほしい」と語った。

 県は今年度、県観光連盟に100億円の「文化観光推進ファンド」を創設したほか、県庁内に部局横断の文化観光、食文化両推進本部を設置するなど、文化振興施策を推進している。

 会合では、県側が32年度まで10年間を計画期間とし、「幸福度日本一に向けた石川の未来の創造」を基本目標とする成長戦略の素案を示した。飛田会長は素案について、「デジタルツイン」「インクルーシブ」といったカタカナ用語の使用を避け、県民に分かりやすい平易な日本語で示すことも求めた。

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