免税店売上、コロナ前超え 小松空港で国際線復活

観光地へ向かう台湾からの団体客=4月、小松空港

 石川、富山の各空港で4月から国際便の運航が再開したことを受け、免税店でインバウンド(訪日客)の売り上げが急回復している。小松空港の店舗では5月の売り上げがコロナ前の2019年を上回り、百貨店では高級ブランドや工芸品を中心に売れている。円安に加え、コロナ下で抑えていた海外旅行に消費意欲が高まっているとみられ、各店は訪日客向けの商品を強化して取り込みを図る。

 台北便が週5便体制で運航している小松空港の免税店では、台北便利用客からの5月の売り上げが19年同月比6割増となった。4月は台北便の乗客数が19年同月より少なかったにもかかわらず、売り上げは1割増で、1人当たりの購入単価が高くなっている。

 北海道土産で有名な菓子「白い恋人」や「じゃがポックル」を買い求める客が多い。運営する北陸エアターミナルビル(小松市)の担当者は7月のタイガーエア台湾の運航再開が追い風になると期待し、「4月は様子見で商品の種類を抑えていたが、徐々に品ぞろえを増やす」と話した。

 富山空港では4~5月、台湾、韓国を結ぶ臨時便が運航した。免税店は5月25日時点で2453万円の売り上げがあり、日本製のたばこも人気だ。6月以降の国際便の運航は未定で、免税店を運営する富山空港ターミナルビルの担当者は「次の国際便が早く決まってほしい」と願った。

  ●百貨店も好調

 百貨店もインバウンド(訪日客)で勢い付いている。金沢市の香林坊大和は5月、免税品の売上高が前年同月比4倍となった。台湾からの客が最も多く、中国、香港と続いた。高級ブランドの人気が高く、婦人靴や旅行用スーツケースなども売れている。同店によると、免税の対象外になるものの、レストランで食事する欧米人らの姿も目立つという。

 金沢エムザでは、5月の免税品購入者が19年比で1割増えた。欧米客が多く、九谷焼の小皿や包丁などが好評だ。4月中旬からは立山黒部アルペンルートの「雪の大谷」を観光するために防寒用ブルゾンを買う客も目立った。担当者は「コロナ前よりも購入される品の種類が幅広い」と語った。

 スギホールディングス(HD、愛知県大府市)は5月25日、同市下近江町にスギドラッグを再出店し、免税品の品ぞろえを強化した。土産物も充実させ、外国人観光客が多いまちなかの立地を生かす。

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