伝統の赤米 バケツで栽培 対馬・豆酘小児童 秋に収穫

赤米の種もみを手にする児童=対馬市、豆酘小

 古代米「赤米」が神事とともに伝承されている長崎県対馬市厳原町豆酘地区にある市立豆酘小(末永功校長、12人)で5月31日、伝統文化を後世に残そうと、児童が赤米の種もみをバケツの土に植えた。校内で育て、10月上旬にも収穫する予定。
 対馬南部の同地区は日本の稲作伝来の地とされ、神田で収穫した赤米を俵に詰めて家屋の天井につるし、あがめる神事を「頭仲間」と呼ばれる住民が続けていた。現在の継承者は、農業の主藤公敏さんのみ。
 2019年以降は主藤さんが療養中のため、親族らでつくる「豆酘赤米行事保存会」や同校などが、赤米を未来に残そうと種もみを収穫するなどしてきた。バケツでの栽培は昨年に続き2回目。児童が赤米の成長過程を観察・記録し、地元の文化を学ぶ。

バケツに赤米を植えた児童

 市文化財課などがバケツ20個と種もみ、同地区にある赤米神田脇の田んぼの土を準備。5、6年児童7人は手を泥だらけにしながら、バケツ一つにつき9粒を慎重に植えた。
 秋に収穫する赤米は同課が保存用種もみにしたり、同校の学習用に提供したりする。6年の佐伯岳瑠君(11)は「豆酘の文化を大事にする気持ちで育てたい。だんだん芽が出てくるのを見るのが楽しみ」と話した。

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