長崎・原爆死没者名簿 3300人の筆耕始まる 8月9日平和祈念式典で奉安

原爆死没者に思いをはせ、記帳する森田さん=長崎市役所

 長崎市は1日、「長崎原爆の日」(8月9日)に開く平和祈念式典で新たに奉安する原爆死没者名簿の「筆耕」を市役所で始めた。昨年8月1日から今年7月31日までに新たに判明した被爆者ら約3300人分の氏名、享年、命日を名簿に記入する。
 担当するのは、今年で22年目の書道講師で被爆2世の森田孝子さん(75)=同市葉山2丁目=。今年5月、初めて名簿の風通しに立ち会った森田さんは「名簿を前にして平和の大切さを感じた。私にできる形で継承を続け、二度と起こってはならない惨劇を伝えていければ」と話した。最初は緊張しながらも、丁寧に筆を進めた森田さん。亡くなった被爆者に思いをはせながら、一文字一文字書き記した。1日約120人分を書き加え、8月4日までに終える予定。
 原爆死没者名簿は1968年から作成。2018年から国が定める被爆地域外で原爆の被害を受けた「被爆体験者」も対象に加えた。昨年の式典までに広島原爆の被爆者89人分を含む累計19万2399人分を奉安した。
 身元不明犠牲者のために用意した無記名の1冊を含む計197冊が国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館に納められている。

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