"フロアの観客に撮影してもらう"観客参加型のライブイベント『HANA-HANA vol.2』が下北沢Flowers Loftにて開催! あきやま さる(青はるまき)、彩、Homesick Humming、カカポカジカという気鋭4組が熱演!

2023年4月27日(木)下北沢Flowers Loftにて、東京都内を中心に活動するインディーズミュージシャンを集めたライブイベント『HANA-HANA vol.2』が開催。第1回公演はFlowers Loftの3周年記念イベントの一環だったが、今回からは月1回の定期公演として開催していく予定だ。 そして、今回の公演ではこのライブレポートの掲載写真を“フロアの観客に撮影してもらう”という観客参加型の試みも行なった。はじめてライブを見るアーティスト、いつも応援しているアーティストなど、様々な観客の目線で撮影された写真とともに、当日の彼らのステージの様子を紹介したい。 まずトップバッターとして登場したのは、4人組ポップロックバンド・青はるまきから、ボーカル&ギターのあきやま さる。この日はアコースティックギターの弾き語りで出演してくれた。

あきやま さる(しらゆみ @komiyunnさん撮影)

まずはゆったりとしたテンポの「ラブレター」、そしてアップテンポな「ミッドナイト・サン」と、ギター1本での弾き語りでも観客を楽しませようと、テイストの違う楽曲を2曲続けて披露。Flowers Loftへの出演ははじめてということで、MCでは胸元に貼った出演者用のバックステージパスを「お花の形ですごくかわいい!」と屈託のない笑顔で話し、観客を和ませた。近頃は青はるまきでのライブ活動が盛んだが、弾き語りにも力を入れていきたいと考えているらしい。ライブハウスのステージ上で弾き語りをするのもはじめてということだったが、フロアからは終始落ち着いた様子で、ライブを楽しんでいるように見えた。ラストソング「君のシャンプー」は、青はるまきで発表しているポップで疾走感のあるナンバーと同じ曲とは思えないほど、雰囲気を変えたスローテンポなバラードとして披露。バンドでのステージを多数経験しているからこそ、弾き語りならではの魅せ方にこだわりが感じられるライブだった。今後の弾き語りでの活動にも注目したいだが、バンドではどんなステージを見せてくれるのか、Flowers Loftへの出演を楽しみに待ちたい。

あきやま さる(イベント担当者撮影)

二番手は、スリーピースバンド・彩(さい)。 “夢と現実の狭間から、あなたの日常を彩る音楽を”というコンセプトのとおり、楽曲ごとにさまざまな表現で色鮮やかな音楽性を魅せてくれる彼らだが、この日は少し影のある雰囲気でのスタート。雨音混じりの雑踏音の中、メンバーがステージに登場し、そのまま1曲目「ウェザーリポート」へ。その後は「遠くの声」「透明なグラス」とスローテンポなメッセージソングが続き、まるで雨上がりの澄んだ空気に心が洗われるような、やさしい雰囲気に包まれた。未発表音源「交差点」は軽快なテンポと疾走感のあるサウンドで、人との出会いと別れを歌うナンバー。普段より多くのカメラを向けられる中、少し照れくさそうな、うれしそうなメンバーの笑顔が見られた。

彩(Ryosuke_Suzuki @A_lka2375さん撮影)

彩(みん @gn_min10さん撮影)

彩(acco @grace_pegasusさん撮影)

時にはギター&ボーカル・イノウエタカユキの弾き語り、また時にはドラムス・KousuKeとの二人体制など、様々な形態で盛んにライブ活動を行なっている彩。そんな中で、一本一本のライブが当たり前ではないこと、ライブでなければ摂取できないものを最近実感しているという。それは彩の音楽を愛するファンはもちろん、ライブハウスという空間を愛する観客も同じだろう。「これからもみなさんにライブハウスで会えることを楽しみにしています」と、最後は代表曲「ルーペ」で締め括った。 三番手には、4人組ロックバンド・Homesick Hummingが登場。 まずはボーカル&ギター・ミノヒカルから「Homesick Hummigです! 今日は最後までよろしくお願いします!」と元気な挨拶。3月から連続配信リリースを行なっている代表曲「感情線」でライブをスタートさせる。現在はミノ以外はサポートメンバーで活動しているHomesick Hummingだが、意気のあった演奏や掛け声に、彼ら自身が楽しんでライブをしていることが伝わってくる。続いての「サーチライト」ではギターソロで「シャッターチャンス!」とミノが煽り、サポートギター・串原にカメラが集中するというシーンもあるなど、楽しい雰囲気のままライブが続く。

Homesick Humming(しらゆみ @komiyunnさん撮影)

Homesick Humming(acco @grace_pegasusさん撮影)

アップテンポで序盤を駆け抜けたあとは、ゆったり楽しんでもらえるようにと、「点描」や「未だ見ぬ明日を」など少しテンポを落とし、日々の生活を歌った楽曲を披露。MCでは「お客さんにはあんまり関係ないんですけど」と前置きした上で、この日のライブで出演を予定していたサポートベースが直前で欠席せざるを得なくなり、急遽編成を変更したことが語られた。「(コロナ禍に入ってからの)この2年間、どんなに準備万端にしても、数日前にダメになってしまうことが多くて。この2年間に教わったことは、最悪な状態になっても、もうダメだなって思うんじゃなくて、そこからどうすればよくできるか、なんなら準備万端にしたその向こうにいけるかって、考えるれるようになったこと」「本来みんなに披露するはずだった以上の演奏を見せつけて終わりたいと思います。今日はどうもありがとうございました」と、最後に演奏されたのは「明日になれば」。今日が昨日より笑えてなくても、明日になればわからないさ──どんなときも前を向いていてほしいと、願いとエールを込めて、メンバー全員のシンガロングで力強く明日への希望を歌った。

Homesick Humming(イベント担当者撮影)

四番手は、4人組ロックバンド・カカポカジカ。 まずは「いろは」「バイバイ」とロックなナンバーを2曲続けて披露し、観客へご挨拶。やさしく、けれどどこか影を感じるような、ギター&ボーカル・橘尚輝の澄んだ歌声と、それに追随する流麗なメロディ、そして安定した演奏力のバンドサウンド。会場はすぐにカカポカジカの世界観に包まれ、あざやかなステージに観客は視線を奪われる。「自分たちはCDの音源とライブでの演奏がけっこう違ってて、あとで聴き比べたりっていう楽しみ方もできると思うので」と、CDのPRをしつつ、ライブならではの時間を楽しんでもらえるようにと、3曲目に披露されたのは「innocence」。ムーディーな雰囲気のセッションから、観客は心地良いビートに体を揺らして楽しんだ。

カカポカジカ(イベント担当者撮影)

中盤のMCでは、演奏している姿とは打って変わって、メンバー同士の緩いやりとりが見られたり、翌日が誕生日のドラムス・わたなべけいすけを祝うなど、これもライブならではだろう。ラストは昨年リリースした人気曲「1%」で、観客が向けるカメラに笑顔で応えたり、メンバー同士で笑顔を交わしたりと、最後まで観客を楽しませつつ、自分たちも楽しんでこの日のライブを終えた。

カカポカジカ(acco @grace_pegasusさん撮影)

『HANA-HANA』は月1回のペースで開催予定。今後も東京都内を中心に活動する様々なインディーズバンド・アーティストを下北沢Flowers Loftから発信していくので、ぜひ注目してみてほしい。(文・たまきあや / 下北沢Flowers Loft)

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