樹齢推定250年 アコウの大木“守った”サットンさん 五島にゲストハウスをオープン

アコウの木を守ったサットンさんと、6月4日にオープンするゲストハウス(右奥)=五島市小泊町

 切り倒されそうになっていた五島市小泊町にある樹齢推定250年のアコウの大木。2年前、私財を投じて守った近くの英会話講師、ニコラス・サットンさん(40)は、木のある敷地内の空き家を活用したゲストハウス「AKO HOUSE(アコウハウス)」を6月4日、オープンする。自然体験や英語学習を組み合わせた交流の場を目指す。
 ゲストハウスは木造2階建て、延べ床面積約200平方メートル。2段ベッドのドミトリーを含む4部屋で定員15人。1人1泊約6千円。柱や梁(はり)はそのままで間取りを大きく変えず、中央に吹き抜けの土間を設けるなど、古民家の雰囲気を残した開放的な造り。庭には英語教室用の小部屋を増築した。
 米国出身のサットンさんは2016年9月、妻の古里の同市に移住。自宅近くのアコウが大きく枝を広げている力強さが「神秘的で生命力を感じる」とお気に入りだった。しかし20年12月、所有者が敷地内の空き家を解体、アコウも切り倒すと知り粘り強く交渉。21年4月、空き家を含め約730平方メートルを買い取った。
 サットンさんは空き家をゲストハウスにしようと計画。ごみ廃棄などで延べ100人以上が手伝い、クラウドファンディングで資金を集めるなど島内外の人たちの協力を得た。
 ゲストハウスでは、海外客や子どもたちのイングリッシュキャンプの利用も想定。ボードの上に立ちパドルでこぐ「スタンドアップパドルボード(SUP)」などアクティビティー事業も手がけ、宿泊者に美しい自然を満喫してもらう。
 4日は、支援者らを招いてセレモニーをする。「多くの人たちに感謝しかない。アコウの木のパワーのおかげ」と笑顔のサットンさん。「旅行者も地元の人たちも、世代や文化の違いを超えてコミュニケーションを楽しむ場所にしたい」と語った。

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