武寧王 加唐島で生誕祭 4年ぶり、日韓交流再開に喜び 4日には没後1500年で記念行事

武寧王が生まれたとされる「オビヤ浦」で記念撮影をする韓国団体のメンバーたち=唐津市鎮西町の加唐島

 朝鮮・百済の第25代王の武寧王の生誕地とされる加唐島で3日、生誕祭が開かれた。韓国側の関係者も集う形で開かれたのは4年ぶり。日韓の顕彰団体など約200人が参加し、交流の再開を喜び合った。

 危機的状況にあった百済を再興した武寧王は、島の海岸「オビヤ浦」の洞窟で生まれたと言い伝えられ、2000年に加唐島が生誕地とする説を支持する論文が発表された。02年に生誕祭が始まり、コロナ禍の3年間は一部の関係者のみで行っていた。

 韓国・公州市と釜山市の団体約40人や駐福岡韓国総領事館の関係者が訪れ、「まつろ・百済武寧王国際ネットワーク協議会」や島民たちが迎え入れた。会長の宮崎卓さん(77)=唐津市鎮西町=は「歴史の大きい力が生んだ絆を大事にし、40年、50年と続くように頑張りたい。兄弟付き合いのような関係を持てていることを誇りに思う」と笑顔を見せた。

 公州市のネットワーク協議会副会長のユン・ヨンヒョクさん(71)は「国際交流は中断なく続けることが大切。高齢化が一つの課題だが、若い人たちなりの活動を支援できるようにしたい」と力を込めた。9月の韓国の百済文化祭には日本側からも参加し、交流活動も復活するという。(横田千晶)

■没後1500年で演劇や講演 4日に名護屋城博物館で

 まつろ・百済武寧王国際ネットワーク協議会などは4日、百済第25代の武寧王(461~523年)の没後1500年の記念行事を唐津市鎮西町の県立名護屋城博物館で開く。武寧王が誕生した物語の演劇や講演会を予定し、歴史や功績を紹介する。

 韓国の団体「韓国熊津文化会」が誕生のエピソードを盛り込んだ劇を、踊りや楽器演奏などで表現する。宗像市郷土文化学習交流館館長の西谷正さんを招いて「東アジアの中の武寧王陵」と題した講演会があるほか、日韓交流をきっかけに生まれた「ニリムセマ」(加唐島の思い出)を合唱する。

 同ネットワーク協議会、加唐島-島づくり事業実行委員会が主催する。入場無料、午後1時から午後5時まで。(横田千晶)

4年ぶりの再会を喜び合う日韓の協議会のメンバーたち=唐津市鎮西町の加唐島
生誕地の記念碑が立つ場所で行われた式典。4年ぶりに両国の関係者がそろった=唐津市鎮西町の加唐島
生誕地の記念碑が立つ場所で行われた式典。4年ぶりに両国の関係者がそろった=唐津市鎮西町の加唐島

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