「旧そごう柏」本館跡地、柏市が購入意向 三井不動産と交渉へ 市長表明「駅前緑豊かな空間に」

空きビル状態が続いている旧そごう柏店本館=2日、柏市

 千葉・柏駅東口のシンボルとして親しまれてきた旧そごう柏店本館(柏市)が空きビルのままとなっている問題で、柏市は跡地の購入へ向け所有者の三井不動産と交渉に入ることを決めた。2日開かれた市議会本会議の市政報告で、太田和美市長が駅前でのゆとりある広場空間の必要性などに言及し「取得に向け、必要な検討、調整および交渉に着手する」と明言した。

 1973年10月に開業したそごう柏店は、業績低迷を理由に2016年9月に閉店。空き店舗の状態が続き、市中心部の駅前空洞化への危惧が強まっている。本館の敷地は約5220平方メートルで、21年11月に三井不動産が土地建物の全所有権を取得し、唯一の地権者となった。

 市政報告で太田市長は、同本館の現状を「地権者から、現存する建物の解体と更地売却の意向もあると伝えられている」と説明。本会議後の取材に対し、現状では解体後の跡地にタワーマンションが建設される可能性が高いとの認識を示し、市としては「一部の住民の住まいではなく、多くの市民が共有し集う場にしたい」と強調した。

 用途として「柏駅前はオープンスペースが少ない。駅前の緑豊かな空間としたい」と説明。近くにある「スカイプラザ柏」「ファミリかしわ」の商業ビルも建て替え時期になっているとして、市が同本館跡地の地権者となることで、東口全体の再整備に主導的立場で関与していく考えも示した。

 市は昨年12月から今年3月にかけ、三井不動産やJR東日本、東武鉄道などの代表者で構成する「柏駅東口未来検討委員会」(委員長=出口敦・東大大学院教授)を3回にわたり開催。「広がりある高い回遊性」「みどり豊かなゆとりある空間」などを「地域の協調」により実現するとした「まちづくりの方向性」をまとめた。

 同本館と隣接する旧そごう柏店アネックス館は、来年から市が送迎保育ステーションも備えた「子ども・子育て支援複合施設」として活用することになっている。

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