3月に兵庫県淡路市内で誕生した国特別天然記念物コウノトリのひな1羽の姿が、3日夕から見えなくなっていることが分かった。県立コウノトリの郷公園(豊岡市)は「巣立ちの時期に達しているので、巣立った可能性はある。ただ、姿を確認できていないので断定はできない」としている。
親鳥は市内にある電柱の上に作った巣で産卵。その後、ひな1羽が順調に育っている様子を市職員らが観察していた。
巣のある電柱が自宅敷地内にある石井廣志さん(79)によると、同日午後5時15分ごろ、親鳥と一緒に巣の中ににいるひなの姿を最後に確認。翼を動かして羽ばたく練習をしていたという。しかし、その15分後、巣は空っぽになっていた。親鳥はすぐに帰ってきたが、ひなは戻っていない。
同公園は、ひなが巣から飛び立った後、巣以外の場所に降り立つことを「巣立ち」と定義する。同じ巣からひなが巣立った過去2年は、飛び立った後、すぐ近くの田んぼなどに降り立っていたという。同公園は「ひなが巣からいなくなり、行方が分からないままの事例はある。ただ、所在不明になった個体が数カ月後に見つかったこともあった。今回もどこかで発見されるかもしれない」と話す。
石井さんは「急にいなくなって心配。元気に巣立ってくれたことを願いたい」と切実に語った。
同公園の調査で、ひなの性別は雄だと判明している。(中村有沙)