廃屋の坪野鉱泉解体 老朽化、迷惑行為続き

30年以上も放置されている坪野鉱泉。ホラー映画「牛首村」の舞台になった=魚津市坪野

  ●県内有数の心霊スポット、ホラー映画の舞台

 魚津市は、廃業から30年以上も放置されたままで、ホラー映画「牛首村」の舞台となった「坪野鉱泉」の廃屋を解体する方針を固めた。県内有数の心霊スポットとして知られ、肝試しに訪れる若者らの迷惑行為が相次いでいた。北陸新幹線の敦賀開業を来春に控え、市は観光庁の補助を受けて老朽化した危険施設を撤去し、安全な環境や景観の向上を目指す。

  ●80年代半ばに廃業

 市などによると、坪野鉱泉は温泉旅館「ホテル坪野」の廃虚ビルで、かつては遊園地やプールを備えていた。1980年代半ばに廃業した後は荒れ放題となっている。

 坪野鉱泉で撮影された「牛首村」は、清水崇監督が手掛けた「恐怖の村」シリーズの第3弾として、2022年2月から全国公開された。元SMAPの木村拓哉さんと歌手の工藤静香さんの次女で、映画初出演のモデルKōki,(コウキ)さんが主演したことで話題を集め、坪野鉱泉は全国的に知られる心霊スポットとなった。県内のロケ地と周辺観光地をまとめたマップも製作された。

 映画の撮影前には、地元から「土日曜や夜間に県内外から若者が集まり、困っている」とロケに反対する声が上がり、昨年、入り口を封鎖する工事や防犯カメラ2台を設置する費用を映画会社が負担していた。

 坪野鉱泉に向かう途中に位置する集落の住民は「少しでも早く壊してほしい。心霊スポットがなくなれば、騒動も起きず、安心できる」と話した。

 市は撤去費を約2億円と見込む。観光庁の「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」事業で、市の地域計画が採択されており、上限の1億円程度が補助されるとみられている。

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