破竹の勢い続くバウティスタ、3戦連続の3レース優勝/SBK第5戦エミリア・ロマーニャ

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第5戦エミリア・ロマーニャラウンドがミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われ、レース1、スーパーポール・レース、レース2でアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝した。

 第5戦エミリア・ロマーニャラウンドには、前戦カタルーニャで負傷したエリック・グラナド(ペトロナス・MIEレーシング・ホンダ・チーム)の代役として、水野涼が参戦した。

 スーパーポールでは、ガブリエレ・ルイウ(ビーマックス・レーシング)のマシンから白煙が上がった影響で、残り時間1分45秒の時点で赤旗中断となり、セッションはそのまま終了となった。その結果、バウティスタがポールポジション、トプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith・プロメテオン・ワールドSBK)が2番手、マイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が3番手を獲得した。

 また、Aruba.it レーシング-ドゥカティのバウティスタとリナルディは、このエミリア・ロマーニャラウンドに、ドゥカティのレースの歴史への敬意を表してドゥカティ・イエローのスペシャルカラーをまとったマシンとレーシングスーツで臨んでいる。

■レース1:ドゥカティがワンツーフィニッシュ

 レース1は気温24度、路面温度45度のドライコンディションで行われた。スタート直前、グリッド上でブラッドリー・レイ(ヤマハ・モトックスレーシング・ワールドSBKチーム)のマシンにトラブルが発生したため、スタートディレイとなる。このため、レースは21周から20周に変更されて始まった。

 ホールショットを奪ったのはポールポジションスタートのバウティスタで、2番手にチームメイトのリナルディ、3番手にラズガットリオグルが続く。4番手争いはダニロ・ペトルッチ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)を先頭に、ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、アクセル・バッサーニ(モトコルサ・レーシング)による接戦となった。さらにその後ろに、ドミニケ・エガーター(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)が続く展開だ。バッサーニは2周目にレイをかわして5番手に浮上すると、4番手のペトルッチに迫る。

 その間にも先頭のバウティスタは独走態勢を築き、6周目に入るころには2番手のリナルディに対し、ギャップを1秒以上に拡大していた。2番手のリナルディも3番手のラズガットリオグルとの差を1秒以上としており、バウティスタとリナルディは単独走行となった。

 バウティスタは危なげない走りで優勝を飾った。2位はリナルディ、3位はラズガットリオグルが獲得した。4位はバッサーニ。レイとエガーターは終始接戦を展開していたが、レイがポジションを守って5位、エガーターが6位だった。

 終盤まで4番手を走行していたペトルッチは、残り6周で転倒を喫し、リタイアだった。水野は21位でレースを終えた。

■レース2:バウティスタ、連勝を10に伸ばす

 スーパーポール・レースは、8コーナーで起こったペトルッチとイケル・レクオーナ(チームHRC)のクラッシュにより、残り4周時点で赤旗が提示され、レース成立に必要な5周を終えていたことからそのままレース終了。優勝はバウティスタ、2位はラズガットリオグル、3位はリナルディという結果となった。水野は19位だった。

 スーパーポール・レースの結果により、レース2のグリッドのフロントロウにはバウティスタ、ラズガットリオグル、リナルディが並んだ。また、スーパーポール・レースで転倒し、メディカルセンターに運ばれたレクオーナは左股関節の負傷と左足首の打撲により欠場となった。

 レース2は気温24度、路面温度46度のドライコンディション。トップで1コーナーに飛び込んだのは2番グリッドからスタートしたラズガットリオグルだった。その後ろにはリナルディ、そしてバウティスタが続き、その後ろにレイがつける。

 2周目を迎えると、バウティスタがリナルディをかわして2番手に浮上し、さらにラズガットリオグルをとらえてトップに立った。ラズガットリオグルは2番手に後退し、僅差でリナルディが3番手に続く展開だ。

 トップに立ったバウティスタは早々に2番手に対して差を広げ、ギャップは1秒以上となる。一方、ラズガットリオグルとリナルディは接戦の2番手争いを展開していたが、リナルディがこれを制して2番手にポジションを上げた。

 しばらく膠着状態が続いていたが、リナルディとの差を詰めたラズガットリオグルが15周目にリナルディをオーバーテイクし、再び2番手に浮上した。後退したリナルディはラズガットリオグルを僅差で追っていたが、1コーナーのブレーキングでリナルディのフロントタイヤがラズガットリオグルのリヤタイヤに接触し、転倒を喫してリタイアとなった。ラズガットリオグルはレースを続け、2番手をキープ。リナルディがリタイアしたことで、3番手にはバッサーニが浮上した。

 バウティスタは盤石のレースで優勝を飾った。エミリア・ロマーニャラウンドの3勝により、連勝記録を10に伸ばしている。エミリア・ロマーニャラウンドはイタリア人ライダーのバウティスタにとってだけではなく、Aruba.it レーシング-ドゥカティにとってもホームラウンド。ホームでも今季の強さをいかんなく発揮したレースとなった。2位はラズガットリオグル、3位はバッサーニが獲得した。

 4位はレイで、エミリア・ロマーニャラウンドの3レースで表彰台を逃した。5位はチャビ・ビエルゲ(チームHRC)。水野は3周目に転倒し、リタイアに終わった。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)は、レース1でニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・ワールドSSPチーム)が優勝した。最終ラップまで続いた2位争いは、ステファノ・マンジ(テンケイト・レーシング・ヤマハ)が制し、3位はフェデリコ・カリカスロ(アルテア・レーシングチーム)だった。岡谷雄太(プロディーナ・カワサキ・レーシング)は20位、阿部真生騎(VFTレーシング・WEBIKEヤマハ)は1周目に転倒を喫してリタイアだった。

 レース2はマンジが優勝。2位はブレガ、3位にはマーセル・シュロッター(MVアグスタ・レパルト・コルセ)が入った。阿部は24位でゴール。岡谷は序盤に転倒し、レースに復帰して27位だった。

 スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)は、レース1でブルーノ・イェラッチ(プロディーナ・カワサキ・レーシング)が優勝した。2位はミルコ・ジェンナイ(チームBrコルセ)、3位はウンベルト・マイヤー(ヤマハMSレーシング/AD78ラテンアメリカ・チーム)が獲得した。レース2でもレース1に続きイェラッチが優勝を飾り、2位も同じくジェンナイが獲得。3位はペトロ・スウォボダ(Fusport-RT・モータースポーツ・by SKM-カワサキ)だった。

スペシャルカラーで挑んだエミリア・ロマーニャラウンド。3レースを制したバウティスタ

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