豊田章男会長「水たまりに突っ込んでも力強く走り切れるクルマを目指し改善を」WRC第6戦後コメント全文

 6月1日から4日にかけて、イタリアのサルディニア島で開催されたWRC世界ラリー選手権第6戦ラリー・イタリア・サルディニア。競技最終日“デイ4”が行われた翌日の5日(月)、TOYOTA GAZOO Racingのリリースを通してTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)の豊田章男会長から恒例のラリー後コメントが発表された。

 今大会、トヨタ勢ではセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が好ペースを発揮し、ラリーの序盤からエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)と首位争いを繰り広げていた。しかし、僅差の2番手で迎えたデイ3に落とし穴が潜んでおりSS13でのウォータースプラッシュでマシンにダメージを受けた直後、総合首位に立っていたSS14では“8冠王者”らしからぬミスでコースオフ。デイリタイアとなってしまった。

 また、チームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)と勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)も、同じくデイ3のウォータースプラッシュで車両に損傷を負ってタイムを失ってしまう。勝田に至っては競技続行が難しいとの判断からデイリタイアを余儀なくされた。

 一方、ラリーの序盤は出走順が一番となったために路面の“掃除役”を担うことになり、滑りやすい路面に苦労していたロバンペラだったが、徐々にポジションを上げて最終的に総合3位でフィニッシュした。現王者でチャンピオンシップリーダーでもある“フライング・フィン”は最終パワーステージでも最速タイムを記録し、追加ボーナスの5ポイントをチームにもたらしている。

 そんな各ドライバーやチームに向けて発進された豊田会長のメッセージでは、今大会を戦ったTGR-WRTメンバーを労う言葉とともに自虐的なコメントも。最後には昨年1-2-3-4フィニッシュを達成した次戦ラリー・サファリ・ケニアに期待を寄せた。

 豊田会長のコメント全文は以下のとおりだ。

* * * * *

豊田章男 (TGR-WRT会長)

TGR-WRTの皆さん、サルディニアお疲れさまでした!

特に、カッレとヤリ-マティ(・ラトバラ/TGR-WRT代表)は、短期間でヨーロッパと日本を往復してくれて大変だったと思います。そんなハードスケジュールにもかかわらず、今回も表彰台に乗ってくれたこと感謝しています。ありがとう!

4年前、私がサルディニアに行った時、自分もラリー後にウォータースプラッシュするつもりで最終日の朝に色々と準備をしていました。しかし、急きょ海に飛び込むことができなくなりました。あの時、私は、海に飛び込まなくて良くなり少し安心してしまった覚えがあります。きっと、そのせいで、我々のチームはサルディニアのウォータースプラッシュが苦手になってしまったのかもしれません(笑)。だから、セブもエルフィンも貴元も気持ちを切り替えて、次のラリーに向かってもらえればと思います。

とはいえ、やっぱり私も、いつかはサルディニアでウォータースプラッシュをしてみたいと思っています。チームのみんなは水たまりに突っ込んでも力強く走り切れるクルマを目指し改善を続けてもらえればと思います! (今年のサルディニアは海への飛び込み禁止とのことですが……)

3週間後はサファリラリーです。サルディニア同様、厳しい道ばかりですが、この2年間、我々のチームはケニアの動物たちにとても好かれています。チームのみんな、アフリカのスペクテーターたちを魅了するような走りを今年もよろしくお願いします!

3位表彰台を獲得したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニア

© 株式会社三栄