震災伝承誓う2011年生まれの児童 全国植樹祭、感謝を発表

復興とともに育ち、心温まる世界中からの支援に感謝を伝える吉田想君(左)と菅野怜海さん=4日午後1時34分、陸前高田市気仙町・高田松原津波復興祈念公園

 復興支援、ありがとう―。陸前高田市で4日開かれた第73回全国植樹祭で、地元の気仙小6年の菅野怜海(れみ)さん、吉田想(そう)君が感謝のメッセージを発信した。巨大津波が古里を襲った日、2人は母親のおなかにいて発生当時の状況こそ知らない。だが、国内外からの心温まる支援について家族や住民から話を聞き、あるいは実際に体験して育ってきた。震災の教訓と感謝の思いを自分たちが「いつまでも引き継ぐ」と会場で力強く誓った。

 浜風吹き抜ける高田松原津波復興祈念公園。緑の少年団の服装で、2人は全国から集った大勢の出席者の前に立った。「奇跡の一本松」の一部などで作られた弦楽器の美しい音色の中で「世界中からの支援」についてのエピソードに触れ「感謝の気持ちを忘れない」と訴えた。

 12年前の、あの日。巨大津波は県立高田病院の4階まで押し寄せた。取り残された入院患者、医師、看護師らは屋上に避難。その中に、おなかに授かった命を必死で守ろうとする菅野さんの母親がいた。

 防寒具の代わりにごみ袋などをかぶり、木製のドアや棚などを燃やして暖を取りながら励まし合った。翌日、ヘリコプターで救助されるまで過ごした。5カ月後に生まれた菅野さんは「たくさんの人の支えがあったからこそ助かったと思う」と受け止める。

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