戦時中や終戦直後の動画を公開 昭和館HP、まず収蔵品の1割 横浜や横須賀の旧軍施設も

手前に零式艦上戦闘機(ゼロ戦)とみられる飛行機が置かれた日本海軍航空技術廠の巨大風洞=1945年9月

 戦時中の資料を展示している「昭和館」(東京都)が、ホームページ(HP)で太平洋戦争や終戦直後の動画公開を始めた。資料の中には、終戦直後に米占領軍が横浜や横須賀などで撮影した貴重なカラー動画も含まれている。

 戦時中、日本にもカラーフィルムは存在したが、物資不足と映像技術の遅れから極めて希少だった。一方で米軍は上陸後、日本研究や空襲の効果検証などのため、大量のカラー映像を撮影、保存した。

 昭和館は1930年代から60年代にかけての映像資料を米国立公文書館やオーストラリア戦争記念館などから収集。従来は館内のみで公開してきたが、デジタルアーカイブ化し、今年4月からHPで写真約5千件、動画約450件とそれぞれ収蔵品の1割強に当たる資料を公開した。モノクロが中心だがカラーも含まれ、今後も増やしていく方針。

 公開された動画には、終戦直後の県内を映したものも多い。

 45年8月28日に厚木基地(大和、綾瀬市)に空路で到着した米軍先遣隊、30日に厚木に入った連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー最高司令官、9月2日に東京湾で行われた降伏文書調印式などの動画が公開されている。

 軍事的な要衝だった横須賀は特に撮影が厳しく制限され、モノクロ映像も少ない。その中で、同市追浜にあった旧日本海軍の飛行場や航空研究開発拠点「航空技術廠(しょう)(空技廠)」などの貴重なカラー映像も見ることができる。

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