「石川モデル」全国発信 里帰り出産支援

  ●政府、各自治体に周知

 里帰り出産を支援する石川県内自治体の取り組みが、政府の規制改革推進会議で高評価を受け、全国に発信される見通しとなった。市町と医療機関が連携し、行政側から必要なサポートを確認・実施する内容で、同会議が取りまとめた岸田文雄首相への答申に盛り込まれた。閣議決定などを経て全国に周知される予定で、「石川モデル」の広がりが期待される。

 県は、親元で安心して出産できる体制を整えるため、今年度内に「いしかわ妊娠・出産サポートセンター(仮称)」を設置する方向で準備を進めている。

  ●助産師が状況確認、自宅訪問

 県によると、里帰りした妊婦がセンターに登録すると、センターや市町の職員、助産師が電話で状況を確認したり、自宅を訪問して相談に乗ったりする仕組みを目指している。

 今年3月末、県は計画の内容を推進会議のワーキンググループに報告した。会議内で「全国でも先進的」との評価を受け、首相への答申に盛り込まれた。

 答申では、妊産婦の約4分の1が里帰り出産を行っている現状に触れながら「自治体が妊婦を把握する手段がなく、行政支援につながっていない」と指摘。その上で、石川と同様に自治体と医療機関が連携して情報システムを活用する方法を挙げ、「切れ目ない行政支援につながる環境整備を迅速に進める必要がある」とした。

 答申は既に岸田首相に提出されており、今後、各省庁の検討を経て実施計画として閣議決定される見込みとなっている。

 県は、2021年6月に輪島市の市立輪島病院で新生児が亡くなった医療事故を受け、昨年7月に医療関係者や自治体などと「赤ちゃん協議会」を発足。里帰り出産への支援を求める同協議会の提言を受け、妊娠・出産サポートセンターを年度内に設置する方針を示していた。

 ★規制改革推進会議 企業の競争力強化や多様な働き方の実現など、経済活性化につながる規制緩和策を話し合う政府の有識者会議。企業経営者や大学教授らで構成し、医療や教育など分野ごとに作業部会で議論した上で首相に答申する。

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