災害ごみの搬出開始 住民「安心できる」

金沢市に向けて搬出される災害ごみ=5日午前9時40分、珠洲市蛸島町

  ●震度6強1カ月、畳など金沢へ

  ●60トン山積み、二次災害懸念

 珠洲市で最大震度6強を観測した地震から1カ月を迎えた5日、約60トンと推定される災害ごみの搬出が始まった。畳などが金沢市に運ばれて焼却される。珠洲市は今月中の処分完了を目指しており、仮置き場で山積みとなっていた可燃ごみに不安を抱いていた住民からは「これで安心できる」との声が上がった。

 5日午前9時ごろ、珠洲市営野球場駐車場の仮置き場と、能登町の奥能登クリーンセンターに運搬業者のトレーラーが到着した。

 市営野球場駐車場では、作業員が重機で災害ごみとして出されたプラスチック製品や衣類などをコンテナに積み込んだ。奥能登クリーンセンターでも畳約600枚が運び出された。

 畳は金沢市が受け入れ、戸室新保埋立場で破砕した後、環境エネルギーセンターで焼却する。畳以外の可燃ごみは、同市の産業廃棄物処理業「環境開発」が処分する。

 災害ごみは2カ所の仮置き場に山積みされ、処理までの期間が長引けば、火災など二次災害の恐れがあると懸念されていた。

 珠洲市蛸島町の80代女性は「災害ごみが目に入ると地震の被害を思い出してしまう。金沢市などの協力を得て処理が早く進むのは良かった」と話した。

 災害ごみは、七尾、輪島市も要請があれば一部を受け入れる方針。いずれも運搬・焼却費用は珠洲市が負担する。

 珠洲市は6月中に可燃ごみの処分を完了し、市営野球場は本来のスポーツ利用を早期に再開させたいとしている。

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