養殖サーモンの中間育成、「遊休」ふ化場を活用 大槌

ふ化場で中間育成するギンザケの仔魚

 大槌町の大槌川さけ・ます人工ふ化場が、未稼働期間を活用して養殖サーモンの稚魚の中間育成に取り組んでいる。秋サケの不漁対策で県内ふ化場の拠点化が進み、遊休状態となっていた。育てた稚魚は養魚場を経て海面養殖し「岩手大槌サーモン」として全国に出荷する。地元の資源を生かして生産サイクルを整え、ブランド力の強化につなげる。

 秋サケの稚魚放流を4月末に終えたふ化場の飼育池で、ふ化したばかりのギンザケの仔魚(しぎょ)が泳ぐ。三野宮直輝ふ化場長は「拠点化で稼働期間は年2カ月ほどに減った。せっかくの良い設備を使わないのはもったいない」と腕をまくる。

 中間育成は、町内の建設業者らでつくる大槌復光社(ふっこうしゃ)協同組合が新おおつち漁協に委託。ふ化場で約10グラムまで育てた後、河川水を引く桃畑地区の養魚場へ移して体長20~23センチ(200グラム前後)に成育。11月ごろに船越湾の洋上いけすに移す。2023年度は約63万匹を育成する計画だ。

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