【ふるさと納税】したのに住民税が安くなっていない…原因は?住民税決定通知書で見るべきポイント

6月になり、会社から住民税の「決定通知書」という用紙を受け取った方もいらっしゃるのではないでしょうか。給与から天引きされる住民税は毎年6月から新しい金額になるので、6月支給分の明細書と一緒に配布されるケースもあると思います。

「そんなもの見たことも聞いたこともない」ですって? なんて……嘆かわしい!

横長のフォームになっているものが多いこの用紙、いったい何なのか知らない方も多いようですが、これを見ることで自分の節税を見直すことができるのです。とくにふるさと納税が大きく関わっています。

何かわからずスルーされがちな「住民税決定通知書」について、税理士でお笑い芸人の税理士りーなと一緒に理解しながら、ふるさと納税のポイントを確認して、確実にお得な制度を活用する方法を確認しましょう。


ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税の基本は3ステップです。

(1)好きな自治体に寄付をする
(2)自治体から寄付のお礼に「返礼品」が送られる
(3)税金が安くなる(特に住民税)

まず(1)ではネットでお買い物をする感覚で、自分が住んでいる自治体以外の自治体に寄付を行います。すると、記載された時期にお礼の品が届きます。

その後、確定申告をしない会社員なら「ワンストップ制度(5自治体以内ならOK)」という手続きをすれば、寄付した年の翌年6月から納める住民税が安くなります。確定申告をする場合は、所得税が一部安くなってから残りの分住民税が安くなります。

「限度額」の範囲内で寄付をしていれば、「寄付額 ― 2,000円」の税金が安くなります。

10,000円の寄付をすれば8,000円安くなり、30,000円の寄付をすれば28,000円安くなるということです。これは自治体がいくつであっても、寄付総額から2,000円を引いた残りの金額分、税金が安くなります。

ふるさと納税で税金が安くなっているかの確認方法

ふるさと納税をしている方にとって、気になるのは「住民税」の金額です。毎年6月から金額が変更になるこの住民税の計算方法について、詳細を記載したものが「住民税決定通知書」です。ふるさと納税をしている方は、必ず内容を確認して、ふるさと納税が効果を発揮しているのかを確認しましょう。

住民税の計算は、1月分から12月分を一区切りとして、収入の集計やふるさと納税など税金を安くする控除という要素を考慮して、翌年の5〜6月頃に計算されます。つまり今年、2023年1月以降でふるさと納税を始めた方は、来年の2024年頃6月に受け取る決定通知書で確認して、2024年6月以降で引かれる住民税が安くなるということです。

「1月と2月にふるさと納税してワンストップの手続きもしたのに、税金安くなっていない」なんて慌てないでくださいね。

すでに2022年分でふるさと納税をされた方は、住民税の決定通知書を受け取ったら、「寄付金控除」と呼ばれている税額控除がいくらになっているかを確認しましょう。
自治体によってフォームが違いますが、欄外に「寄付金控除」または「ふるさと納税控除」という金額が記載されているケースも多いようです。「税額控除」の欄には住宅ローン控除の金額も記載があるので、両方の適用を受けられる方は、欄外の記載で確認してください。

この寄附金控除額が、ふるさと納税で寄付した金額からマイナス2,000円した金額になっていれば、MAX控除が成功しているということになります。

すでにふるさと納税を始められていて、今まで見たことなかったという方も、住民税の決定通知書を受け取ったら早速確認してみてください。

ふるさと納税で失敗したケース

ふるさと納税をする上で、最も重要なのは「自分はいくらまでふるさと納税ができるのか?」という、限度額を正しく把握することです。限度額は、1月から12月までの1年分の税金が正しく計算できる状態でなければ、試算することができません。

それゆえに、フリーランスなど自営業で自分の年収が12月の末にならなければ把握できない方は、ふるさと納税の限度額試算もその時期でなければできないので、制度を正しく活用することが難しいと言われています。逆に給与収入のみで年収が早い段階である程度把握できる方は、早いタイミングでふるさと納税の限度額を試算して、早めに返礼品を申し込んだり、計画的に色々な品を受け取ることができます。

この、ふるさと納税限度額の計算をいい加減にしてしまい、失敗した例がいくつかあります。特に、扶養控除や医療費控除、住宅ローン控除などがある方は、限度額の試算に「控除」を入れ忘れると、限度額が大きく変わってくるので要注意です。

限度額の試算は各ふるさと納税サイトなどでも行うことができますが、簡単なシミュレーションを使うと「年収と家族構成のみ」を入力するだけで限度額の計算がされてしまいます。多額の医療費を払って控除を受ける予定の方や、住宅ローン控除を受けて税額が安くなる方は、簡単なシミュレーションでは正しく限度額が計算できないということもあります。

また、毎年ふるさと納税をしてすっかり慣れているという方も、住宅を買った1年目でローン控除がスタートした年は、ふるさと納税の控除がなくても、もともと前年に比べ税額がかなり安くなり、場合によっては住民税が0円になる方もいるほどです。前年と同様にふるさと納税の限度額があると思い込んで寄付をしてしまうと、引いてもらう予定だった住民税がそもそも0なら、何も引けません。ただ寄付しただけの良い人です。なんて……嘆かわしい!

例えば、大学生の子の扶養をつけ忘れていた年収400万円の方の場合、扶養なしなら限度額が45,000円ですが、19〜22歳の扶養が1人つくと控除が増えることにより、ふるさと納税の限度額は33,000円になります。45,000円寄付してしまったら、33,000円しか控除を受けられず、11,000円はただ寄付しただけになります。

本当の限度額を知るためには?

ふるさと納税を行う場合、自分が本当はいくらまで寄付を行うとMAXの控除が受けられるのかを、正確に把握することが必要です。そのためには、12月までのボーナスも含めた年収を早めに見積もることと、他に自分が受けられる控除がどれくらいあるかを正しく知っておくことが必要になります。

今年、医療費控除を受けそうなのであれば、医療費を随時集計しておくこと。家族構成など扶養の状況が変わる方は、前年の源泉徴収票と比べてどこが変更点なのかなど、しっかり確認しておきましょう。

ふるさと納税の限度額は、各ふるさと納税サイトでも計算できますが、より詳細の情報を入力して正しく上限を知る方法があります。各自治体が公開している「住民税の計算シミュレーション」サイトを活用する方法です。

最近では、多くの自治体がサイト上で「住民税の申告書作成コーナー」を設置しています。その中でも、一部の自治体では、住民税申告書を入力完了すると、「あなたのふるさと納税限度額はXXX円です」と教えてくれます。自治体に提出する住民税の申告書を作成する場合は、ご自身が住む自治体のサイトを使わなければなりませんが、ふるさと納税の限度額の試算だけなら、別の自治体のサイトを使っても構いません。

昨年の源泉徴収票を参考に、年収や控除額を入力することが可能ならば、源泉徴収票を見ながら金額を入力し、それよりも年収が大きくなりそうなら支払い金額に増加分を上乗せして入力してみましょう。ただし、あくまでも参考数値になりますので、限度ギリギリまでふるさと納税をすることも、多少のリスクがありますので気をつけましょう。もし、年内にその年の源泉徴収票を受け取れたなら、確定した金額で最終チェックもできるということです。


正しく金額が把握できればたくさんの返礼品をゲットして、その寄付額から2,000円引いた金額が住民税で安くなります。実質2,000円で色々もらえてお得なふるさと納税の制度、改めて再確認して活用できたら、「なんて……喜ばしい!」ですね。

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