世界の核弾頭1万2520発 長崎大レクナ推計「実質的な軍拡傾向」と分析

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は5日、世界に1万2520発の核弾頭が存在するとの推計結果を発表した。昨年より200発減ったが、退役・解体待ちを除く「現役」の核弾頭は9587発で逆に84発増えた。加えて各国は保有核兵器の質的な向上も進めているとして「実質的な軍拡傾向にある」と分析している。
 保有9カ国のうち、全体の約9割を占める米国、ロシアとも昨年より減少。中国、パキスタン、インドが増え、残り4カ国は増減なしだった。
 2013年以降のレクナの調査結果を見ると、減少傾向が続くが、米ロの新戦略兵器削減条約(新START)履行期限だった18年を境に両国の核弾頭の削減ペースが鈍化。特に現役核弾頭は米国は3708発で5年前と比べて92発減ったが、ロシアは4490発で144発増。核戦力を増強している中国も410発で170発増えている。
 中村桂子准教授は「新STARTの後継となる軍備管理・軍縮の枠組みづくりを、中国も巻き込みながら進めることが早急に必要」と指摘した。
 併せて発表した世界の核物質量の推計結果(21年末)によると、高濃縮ウランは、広島原爆1万9680発分に相当する1260トン(前年比6トン増)。分離プルトニウムは、長崎原爆9万2千発分の552トン(同8トン増)。主にフランスの民生用が増えたのが要因。
 核弾頭数(図参照)などは各国専門機関の情報や、研究者の文献を基に推計。データをまとめたポスターを県内の小・中・高校・大学などに配布し、平和教育に活用してもらう。レクナのホームページからもダウンロードでき、詳細なデータも掲載している。

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