20年ぶりの新知事誕生、若さと行動力に期待 青森県民に聞く

それぞれの願いを込めて1票を投じる有権者=4日、青森市

 前むつ市長の宮下宗一郎氏(44)が40万票超を獲得し勝利した知事選から一夜明けた5日、20年ぶりに誕生する新知事に向けて、県民から「(宮下氏の)若さと行動力で青森を元気に」と期待する声が上がった。29日に始まる「宮下県政」に対し、経済や暮らし、子育て支援など幅広い施策の充実を求める声も聞かれた。

 「若さや、コロナ禍の時に市長として見せた行動力に期待している」と話すのは、むつ市の会社員駒井亮さん(26)。若い世代は貯金できるほどの収入がなく生活は厳しい-との思いがある。2人の子どもを育てる同市の主婦(35)は、宮下氏が市長時代にごみ袋や燃料クーポン券を配布したことに触れ、「生活の支えになりありがたかった。知事になっても物価高対策をお願いしたい」と語った。

 青森県で戦後最年少の知事となる宮下氏に対し、八戸市の八戸工業大学大学院の尾崎壮一さん(24)は「政治家は経験豊富な年配の人が多いイメージがあったが、宮下さんは比較的私たち学生に近い年代。若者の視点も大切にしながら政策を進めてほしい」と要望する。

 「宮下さんは今までの政治家と雰囲気が違い、青森県をよくしてくれる気がする。子どもからお年寄りまで楽しく暮らせる街づくりを期待している」と青森市の飲食店従業員佐々木優奈さん(21)。十和田市の自営業三浦妙子さん(73)は「人口減、物価高など県政の課題は山積みだけれど、宮下さんの人を引っ張る力や上に意見を言える姿勢から『何とかしてくれるのでは』と期待できる」と語る。

 三沢市で花屋を経営する岩原綾さん(47)は宮下氏を「若くて勢いがあり、いろいろなしがらみを断ち切って県民をいい方向に引っ張ってくれそう」と評価し、「自分の信念を貫き、元気あふれる『青森新時代』を築いて」とエールを送った。

 所得向上や子育て支援の拡充を求める声も相次いだ。「現役世代の給与を上げることは少子化対策と一体のもの。県全体の所得の底上げを図ってほしい」。弘前市の団体職員相馬世伸(よしのぶ)さん(48)は所得向上を願って投票所に足を運んだという。

 五所川原市の無職津島徹さん(68)は「青森県は貧乏で、若い人がどんどん県外へ出てしまっている。宮下新知事には特に経済面での政策を期待したい」、つがる市の農業三浦彰仁さん(40)は「リンゴやコメ以外の農産品もしっかりPRし、農家の後継者育成につながる所得向上を実現してもらいたい」とそれぞれ注文した。

 黒石市のパート従業員中村幸子さん(38)は「医療費や給食の無償化など、子育てに関する政策は自治体間で格差が出ないよう全県で対応してほしい」と要望。平川市の保育士齋藤歌澄さん(45)は「『子育てするなら青森県』と言われるくらいの充実した政策を」と願った。

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