第71回大分県高校総体サッカー競技
6月5日 レゾナックサッカー・ラグビー場
男子決勝 中津東2-0大分
中津東の首藤啓文監督が「どっちに転ぶかわからない状態だった」と振り返ったように、実力が拮抗(きっこう)した試合だった。緊迫した試合はセットプレーで試合が動くことが多い。この試合も2得点全てがセットプレーから。FKやCKの決まり事を、しっかり遂行できるだけの技術やアイデアが中津東にはあった。
前半30分にゴール前をマンツーマンで守る大分に対し、ショートコーナーを選択する。パスを受けた立花佑悟(2年)が「一拍間を置く」ことでマークを外し、梅津爽蒼(1年)が先制点を決めた。首藤監督は「選手がピッチ内で判断した。ゴール前でズレができて得点につながった」と即興プレーにチームの成長と手応えを感じた。
チームスタイルは毎年変わる。2年前の全国高校選手権に出場したチームは、ドリブルを中心とした個の技術で打開したが、今年は「前から守備をするチーム。強い相手でも(守備を)引かず、粘り強くプレスをかける」(立花)。首藤監督は育成方針を、「毎年部員が変わり、選手の特徴も変わるので、それぞれに合った形をつくればいい。その中で技術を身に付け、相手を目で見て、状況判断できるようにする」と説く。
1点をリードしてからの試合運びは、無理に前線からプレスをかけるのではなく、相手にスペースを与えないコンパクトな守備陣形を整えた。大会前から守備整備の選択肢の一つとしていたが、選手が状況判断して最良の選択をした。後半12分には、上野祐輝(3年)がCKで勝負を決めた。「ゴールに入り込む位置は決まっていた。たまたまボールがこぼれ落ちたところに自分がいたが狙い通りだった」と胸を張る。
前評判は決して高くはなかったが、「今日が一番大事な試合」と一戦必勝で勝ち上がり、7年ぶり3回目の優勝を射止めた。
(柚野真也)