立佞武多に新風を、燃える高校生 高さ10m超「中型」制作進む 五所川原農林、五所川原(青森県)

「源氏物語 龍王」を制作する五所川原農林高校立佞武多倶楽部のメンバー。右端が福長部長、右から3人目が小野井さん
「菅原道真」を制作する五所川原高校立佞武多同好会のメンバー。中央が前田会長

 8月の五所川原立佞武多(たちねぷた)に向け、五所川原農林高校と五所川原高校の生徒たちが、それぞれ中型立佞武多(高さ約11~12メートル)の制作を進めている。今夏の祭りは市街地運行25周年の節目で、新型コロナウイルス対策の緩和に伴い、4年ぶりの通常開催となる。両校の生徒たちは「今までにないようなものを作る」「多くの人に見てもらいたい」と張り切っている。

 五所川原農林高校立佞武多倶楽部(くらぶ)の1~3年生12人は、光源氏が夢の中で見た父・桐壺帝の幽霊を題材にした「源氏物語 龍王」を制作中。大型立佞武多の制作者を目指している小野井光紀さん(3年)が作業の指揮を執る。

 部員たちは2日、五所川原市の同校敷地内の作業小屋で、台座部分の色塗りや骨組み作業を進めた。

 今年は同校にとっても出陣20年目という記念の年。小野井さんは「高校に入り、通常開催は初めて。台座をこれまでにない紫色にし、メインの幽霊は青くする。今まで誰も作ったことがない、インスタ映えするような派手な立佞武多にしたい」と目を輝かせ、部長の福長伶さん(同)も「観客の目をくぎ付けにするようなねぷたを作りたい」と抱負を語った。

 一方、五所川原高校立佞武多同好会の3年生3人、1年生2人の計5人は、顧問の野呂英彦教諭やOBたちの指導を受けながら「菅原道真」を作っている。

 学業で忙しい3年生が多いため、今年は制作を例年より1カ月前倒しし、3月に始めた。作業は土日が中心。3日も朝から同市の学校敷地内の作業小屋に集まり、紙張りなどを進めた。

 会長の前田有希さん(3年)は「(同好会は)キャラクターが濃いメンバーで仲がいい」と話す。「菅原道真」では、コロナ禍という暗雲を切り裂き、自ら放つ閃光(せんこう)でこの世を明るく照らす道真の勇姿を表現するという。前田さんは「雷と雲が特徴。多くの人に見てもらえる魅力的な立佞武多を作りたい」と意気込みを語った。

© 株式会社東奥日報社