【DeNA】育成投手コーチ・八木快氏、プロ経験ないからこそ「違う視点で」 大貫は動作解析を取り入れて飛躍

キャンプで若手外国人選手にタブレット端末を見せる八木氏(中央)=2月(球団提供)

 データやテクノロジーが野球にもたらした変革に迫る「教えて IT野球」。第2回は筑波大大学院でスポーツ選手らの動作解析などについて研究し、プロ未経験ながら横浜DeNAで今季、投手育成コーディネーター兼育成投手コーチを務める八木快氏(33)に聞いた。

 「動作解析」。現在では野球界で当たり前に使われるようになった用語だが、端的に言えば投球フォームを数値化することだ。腕関節の角度、地面を踏み込んだ瞬間にはね返ってくる力など、人の目に見えない投球動作を構成する各データを計測し、球速や制球力の向上に役立てる。投球だけでなく打撃フォームの改善にも活用されている。

 投手の育成に携わっている八木コーチは高校、大学時代に外野手としてプレーし、投手の経験はないに等しいという。プロ選手を指導することに抵抗はなかったのか。

 「確かに僕にはひりつくようなマウンドの経験はありません。ただ、投手育成に必要なものは必ずしもそうした要素だけではないと考えています」

 八木氏が担っているのは、投球動作を分析し、見つかった課題を克服するための有効な方法を探るといったデータ活用の要素が大きい。「投手の経験やプロの経験がなくても教えられる領域」と説明する。

 また、動作解析の知見は、野手に比べて投手の方が成果につながりやすい傾向にあるため、まずは投手の育成に注力しているという。

 チームとしてオフシーズンに最先端機器を使ってブルペンで投げ込む姿は日常になっている。5年目の大貫は動作解析を取り入れて飛躍した投手の一人だ。

 2021年シーズンは最下位。投手陣は振るわず、大貫自身も6勝止まり。球速に課題を感じ、オフには自身のフォームと向き合った。「三振にこだわる」ことをテーマに掲げた昨季は自身最多の11勝をマーク。真っすぐに力強さが増し、奪三振数もキャリアハイだった。

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