下野の「マクドナルドハウス」大規模改修 積極的な利用呼びかけ

楽しそうに遊ぶ親子。感染症対策が施された館内で穏やかな時間を過ごす=昨年9月、下野市のとちぎハウス(同ハウス提供)

 自治医大とちぎ子ども医療センター(下野市薬師寺)に入院する子どもやその家族らが宿泊できる施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス とちぎ(とちぎハウス)」(同市祇園2丁目)は積極的な利用を呼びかけている。トイレや浴室などを大規模改修し、利用環境が向上した。2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による国の緊急事態宣言で、約4カ月閉鎖するなど大きな影響を受けた。今年は「5類移行」に伴い、活動周知にも力を注ぐ。阪本貴行(さかもとたかゆき)ハウスマネージャー(48)は「ハウスを知ってもらい、安心して宿泊してもらえたら」と話す。

 同施設は同センターに入院する子どもを見舞う家族の負担を軽減するため、06年にオープンした。公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが自治医大から場所の提供を受けて運営している。

 利用料は1泊約1千円。部屋は10室あり、コロナ禍前は平均稼働率70%前後で推移していた。利用者数は19年が379家族だったが、22年は151家族に減少した。21年の大規模改修では3カ月ほど閉鎖し、12月末に再開した。

 ハウスを支えるボランティア登録者数は現在約150人。月1回の定例説明会と希望者には個別で対応し、参加希望者は増加している。一時中断していた学生の受け入れも再開。昨秋からはボランティアによる食事(ミール)の提供に力を入れ、利用者からは好評という。

 PRの柱は同財団が全国のハウスで取り組む「ハートフルカート」。入院中の子どもや家族が必要とする日用品や文房具などを特製のカートに載せて無償配布する。各ハウスが欲しい物リストを公開し、ネット通販大手アマゾンなどを通じて寄付を受け付ける。寄贈された物品はハウスから医療機関へ届けられる。とちぎハウスでは計8回実施した。

 地域との交流行事も徐々に復活。昨秋はサッカー元日本代表の北澤豪(きたざわつよし)さんを招き、地元のサッカー少年団が全国のハウスに寄贈するために作る「ドリーム米」の稲刈りを行った。このほか、イベントへの参加も増やし、資金確保へ募金の協力を訴えた。

 今年のハウス利用者からは「入院中の子どもの近くにいられる安心感がある」「病気の子をもつ親として、他の利用者と悩みを共有できた」などの反響があった。5類移行後も入室時の検温や手指消毒など感染対策は継続。阪本ハウスマネージャーは「今後も子どもたちや家族に寄り添っていくとともに、継続的な支援をお願いしたい」と話している。

 (問)とちぎハウス0285.58.7551。

PR事業の柱「ハートフルカート」。日用品やプレゼントを届ける=昨年10月、下野市の自治医大とちぎ子ども医療センター(同ハウス提供)

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