初のコンビニ… “世界遺産の島” 宮島ならでは…「茶色のローソン」開業までの日々

コンビニのローソンといえば、イメージカラーはブルー。

球場の近くでは、まれに真っ赤になったり、虎模様になったり、大胆に変身します。

そして、このたびは「茶色」です。場所は、“世界遺産の島”・宮島(広島・廿日市市)。島内で初めてとなるコンビニが、9日に誕生します。開業までの日々を追いました。

去年12月、宮島桟橋前広場の様子をスマホで撮影する男性…。宮島初のコンビニ開業に向けて準備を進めるローソンの 池田速人 さんです。

ローソン 中四国開発部 池田速人 さん
「きょうはどういった方々が島にお住まいで、また、訪れていらっしゃるかを…」

市場調査にあたっていた池田さんは、朝・昼・夕方と何度もフェリーで往復して、人や車の流れを観察していました。

池田速人 さん
「幅広い年齢層の方がたが個人旅行だけでなく、団体もすごく増えたと」

コンビニが入る建物はもともと、もみじまんじゅうの店舗があった場所で、直近は動物カフェでした。世界遺産の島のコンビニにはどのような商品をラインナップするべきか、観光客が戻りつつあった冬の宮島で品ぞろえは固まりつつありました。

この日の工事は、これまで土間になっていた店舗正面に自動ドアを設置する作業です。ここで宮島ならではの工夫が施されました。

タッチスイッチの採用です。理由は、シカ対策です。自動ドアではシカが簡単に店に入ってきます。通常の店舗では使っていないタッチ式の自動ドア。その位置もシカの鼻先よりも高めに設置しました。もちろん、ゴミ箱は店舗の中に設置。

宮島ならではの対応は、シカ対策だけではありませんでした。

廿日市市教育委員会 生涯学習課 田宮憲明 文化財担当課長
「例えば青とか赤とかは、やはり宮島の景観にはなかなかそぐわない部分で。たいへんローソンさんには申し訳ありませんが、やはり地域に入り、宮島で出店される以上は、宮島の風紀になじむような色合いにしてくださいとお願いをしたところです」

文化財保護法によって宮島には景観を保全するための細かい規制があります。

ローソン 中四国開発部 池田速人 さん
「使用する素材・色・サイズ、きめ細やかにチェックいただきまして、しっかりとご指導いただいた内容に」

ローソンでは、マツダスタジアムそばの『赤いローソン』をはじめ、甲子園球場近くの『黄色と黒のローソン』、観光地である鹿児島・桜島に『茶色いローソン』、直近ではファイターズローソンなど、ご当地になじむ特別カラーやコラボ店舗を全国で展開しています。

検討の結果、宮島は、「茶色」のロゴマークで決まりました。そして、ロゴのアルファベットは、白の文字を1つずつ設置していきました。外観は、もともとの木の窓枠やかわら屋根を生かして和風に仕上げ、格子を設置したデザインとしています。

ローソン 中四国開発部 池田速人 さん
「結果として宮島の景観を保全といったところもそうですし。しっかりと街との調和といったところも考えまして」

6月に入って、いよいよ商品の搬入が始まりました。この日はあいにくの雨…。店舗前に駐車場がないため、離れた場所から商品を運び込みます。

販売する商品は、およそ3000アイテムです。1階には飲料品や冷凍食品をはじめ、お弁当などが、2階フロアは菓子やアルコール類などを並べたほか、スーパーの代替機能として日用品を充実させました。

コピー機や銀行のATMも備え付けられ、住民や島で働く人にとっても日常の不便の解消につながりそうです。

人力車のえびす屋 宮島店 池田圭汰 さん
「雰囲気があって、すごくいいなと思います。一番、ぼくが買いそうなものはスイーツですね。仕事終わりに甘いものを食べたくなっちゃうので買いますね。ローソンのウチカフェ、買っちゃいます」

ローソン 宮島店 大島裕二 店長
「世界遺産の島にあるお店ということで、1つは観光客の方に思い出作りの中で当店で買い物していただき、島民の方がたには期待のコンビニができたということで便利さを味わっていただけたらなと思います」

地域に根ざした店作りを目指すということで、地元商店街への影響を配慮し、みやげものは扱わないということです。宮島ならではの特別な商品はあえて置かず、コンビニ本来の機能で島への浸透を図ります。

ローソン 中四国開発部 池田速人 さん
「大げさかもしれませんけれども、ローソンでの歴史でもそうですし、宮島にとりましても歴史の1ページを新たにつづることができたのではないかなと。非常に貴重な機会をいただきました。店舗作りから特別な場所、特別な店舗ということで心を込めて準備をしております」

構想から2年以上…、“世界遺産の島” に誕生する茶色のコンビニは、9日午前11時にオープンします。

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