セミ初鳴き調査任せて 富山市桜谷小3年生、登下校時に場所・種類も記録

和田教授(右)から、セミの鳴き声などについて学ぶ桜谷小の児童

 富山市桜谷小学校(同市田刈屋)の3年生が、セミの初鳴きの観測に取り組む。6日は同校で富山大大学院持続可能社会創成学環長の和田直也教授から、種類によって異なる鳴き声の特徴や、初鳴きが観測された日が年々早まっていることなどを学び、地域の環境変化に理解を深めた。

 セミの初鳴きの観測は2020年まで、季節の移ろいを野鳥の初鳴きや草木の開花で捉える気象庁の「生物季節観測」の対象だった。だが、都市化による野生動物減少などの理由から、21年に観測は廃止された。

 生態学が専門の和田教授は、セミの初鳴きの観測は気候変動などの影響を反映した貴重なデータであり、記録していく必要があるとして21年から毎年、校区内に富山地方気象台がある桜谷小学校の3年生に協力を依頼している。

 6日は過去に初鳴きが観測された日付のデータを見たり、種類が異なるセミの鳴き声を聞き分けたりした。児童は和田教授から「いきもの調査隊」に任命され、学校周辺の地図が貼られた記録用の「野帳」を受け取った。

 今後、国内に比較的多い「ニイニイゼミ」「アブラゼミ」「ツクツクボウシ」の3種類について登下校時に調査。鳴き声を聞いた日時や場所、種類を野帳に記録する。夏休み明けに野帳を提出し、冬に報告会を開く。

 榎本徠(らい)君は「地球が暖かくなってセミの鳴く日が早まっていることに驚いた。これからセミをたくさん見つけて、鳴き声を完璧に覚えたい」と話した。

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