「車は必需品。本当に助かってます」災害時に無料で貸し出し 進む仕組みづくり【わたしの防災】

今回の記録的豪雨によって被害を受けた人に車を無償で貸し出す支援が6月5日から始まりました。災害時の「車不足」を解消するための仕組みづくりが進んでいます。

静岡県磐田市の川が氾濫した現場を訪れたのは、被災者に車の支援を行う日本カーシェアリング協会のメンバーです。

<日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事>

「そこが崩れた?」

代表の吉澤武彦さんは、東日本大震災をきっかけに車の支援活動を始めました。県内では2022年から台風などによる大雨で大きな被害が続いていて、今回の記録的豪雨を受け、吉澤さんは宮城県石巻市から磐田市に駆けつけました。

<日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事>

「周りは皆さん、大丈夫そう?」

<地域の人>

「今回1年で2回目、前回の9月から2回目なのでピリピリしている感じ」

吉澤さんは地域の人に被災状況を聞いて回りました。

<日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事>

「もうレンタカーを手配している方もいるので、とまっている車が『わ』ナンバーかどうかも見ている」

日本カーシェアリング協会は東日本大震災の1か月後から宮城県石巻市で活動を始め、12年にわたり全国で2500件以上の車の支援を行ってきました。寄付で集まった中古の乗用車や軽トラックを被災者に一定期間無償で貸し出しています。協会は記録的豪雨の翌日、車の貸し出しの受け付けを始めました。

<日本カーシェアリング協会スタッフ>

「お貸しする車は、MRワゴンとワゴンR」

6月5日、早速、災害ボランティアセンターを運営する県社会福祉協議会に2台の車が貸し出されました。

<県社会福祉協議会 地域福祉課 漆畑友香さん>

「私たちは支援者の立場ではあるが、カーシェアリング協会からレンタルして、困っている住民に情報発信することで利用者の幅が増えたらいいと思っている」

<日本カーシェアリング協会スタッフ>

「こちらカギです、気を付けて」

協会では現在、約300台の車で支援活動をしていますが、まだ車が足りないといいます。

<日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事>

「去年90台の車を台風15号で使ったが、車が全然足りなかった」

22年の台風15号では、車を求める人が殺到し、306件の依頼がありました。今も車を借り続けている人もいます。

静岡市清水区の甲田さんは台風15号で車が浸水し、廃車になりました。

<甲田真美さん>

「ボンネットのところも(水で)見えなかった」

被災後、協会の車を半年以上借りていて、通勤や通院などで毎日のように使っています。

<甲田真美さん>

「必需品、車は。ないと本当につらいです。サポカーがあって本当に助かってます」

生活の足となる車を被災者にすぐに届けるため、日本カーシェアリング協会は新たな取り組みを始めました。

<日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事>

「災害が起こった時、車が不足した時に返却してもらう低額のカーリースをやっている。これを普及させるのが備えになる」

協会が5月から始めた「災害時返却カーリース」は、月1万円ほどで車を借りることができます。ただ、災害が起きた時に協会が車が必要だと判断した場合、要請から10日以内に返却するのが条件です。災害が起きた時に車で困らない社会をつくるための新たな選択肢です。

<日本カーシェアリング協会 吉澤武彦代表理事>

「大きな水害があれば、車の被災も免れない。その備えとして仕組みをしっかりつくらないといけないと思う」

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