ベトナム出身のハオさん、佐伯市で介護福祉士に 経験重ね初挑戦で資格取得【大分県】

介護福祉士の試験に合格したチン・ティ・ハオさん(左から2人目)と御手洗和子施設長(同3人目)ら=佐伯市長良の特別養護老人ホーム「長良苑」
「調子はどうですか」。入居者に声をかけるハオさん(右)

 【佐伯】佐伯市の社会福祉法人・長陽会の特別養護老人ホーム「長良苑」で働くベトナム出身のチン・ティ・ハオさん(22)が、第35回(2022年度)介護福祉士国家試験に合格した。来日して約3年半、介護現場で経験を積みながら勉強に励み、初挑戦で資格を取得。こまやかな気配りと丁寧な仕事ぶりで入所者からも慕われ、充実した日々を送っている。

 「調子はどうですか、元気になりましたか」。ハオさんが居室のベッドで横になった高齢者に優しく声をかける。19年11月から同施設(市内長良)で働き始め、部屋の掃除や入浴・トイレの介助、おむつ交換など入所者の生活全般をサポートしている。

 母国の高校を卒業して同年、技能実習生として日本にやって来た。以前から日本の音楽や文化に興味があり、「自分に向いていそう」と介護分野を選んだ。

 介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格。介護のプロとして現場のリーダーとなり、新人を教育する役割も担う。3月に発表された今回の合格率は84%で、合格者は6万6711人。県によると、県内では716人が合格した。

 介護の専門知識や高度な日本語力が求められるため、ハオさんは先輩職員に仕事を教わりながら終業後や食事の合間に勉強を続けてきた。「周囲の協力があったから合格できた。感謝しています。これからも日本で働きたい」とハオさん。

 同法人にはベトナム、フィリピン、ミャンマー出身の技能実習生が約30人在籍。初めて合格したハオさんに刺激を受け、介護福祉士を目指す人が増えているという。

 同施設の御手洗和子施設長(72)は「介護業界はどこも人手不足。国籍に関係なく、頑張る人をどんどん応援したい」と話した。

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