コケに魅了され、店やラボまで開いた「苔屋さん」 “宝庫”という但馬でテラリウムを展示・販売 兵庫

コケなどを使ったテラリウムを展示する増田真人さん=口銀谷銀山町ミュージアムセンター

 兵庫県加古川市で「ちいさな苔(こけ)屋さん」を経営する増田真人さん(45)=同県朝来市=が、同市生野町口銀谷の口銀谷銀山町ミュージアムセンター(旧浅田邸)で「苔展」を開いている。「但馬は生息する種類が豊富で、きれいなコケが多くそろう宝庫」と強調。ガラスの球形ケースにコケや流木、フィギュア(人形)などを入れて自作した「テラリウム」を展示、制作するワークショップも開く。(小日向務)

 増田さんは加古川市出身で、7年半前に生野町に移住した。6年前、コケの日本三大聖地とされる北八ケ岳(長野県)に登った際、コケの森に魅了された。県内の生息を調べると、生野をはじめ但馬地域では種類が多く、スギゴケなど支えがなくても立っているタイプが豊富なことも分かった。

 加古川で起業家向けのレンタルオフィスのマネジャーを務めており、そこで2年前に自ら「苔屋さん」を開業。さらに昨年、生野の自宅に研究や栽培などに取り組む「兵庫苔ラボ」も開設した。店舗と合わせて、苔テラリウムを作るワークショップや、コケの自生地を訪れて観察し癒やしを求めるツアーなどを企画、運営する。ワークショップでは参加者が用意されたさまざまなコケやフィギュアなどから選び、自由に好きな作品を作る。

 最初は分かりやすいフィギュアを使うケースが多いが、再び参加した際には流木など自然物を利用する人が増えていくという。「コケに関する仕事をしたい」と相談されることもあり、テラリウム制作の指導者などを養成する講座も企画している。

 生野では、直径25センチの球形のテラリウム6点に加えて、販売用の小型の作品約30点などを展示。美しくコケが広がった但馬や丹波、京都の庭園などを自身で撮影したパネル11点も出品している。

 増田さんは「見ているようで気づけていない小さな世界の魅力を感じてほしい」と話す。

 苔展は30日まで。月曜休館。ワークショップは10日と25日のいずれも午後1時半から。各回先着20人。参加費はガラスケースの大きさによって2千~4千円。申し込みは、同店のホームページからリンクしている公式LINE(ライン)か、同店(TEL079.427.3103。月、水、金曜)へ。

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