津軽線・蟹田-三厩間(青森県) バス・タクシー転換なら2往復増便 JR東、沿線自治体に提示

検討会議で意見を述べる(左から)今別町の太田総務企画課長と外ケ浜町の登坂総務課長=6日、外ケ浜町役場

 昨年の大雨被害の影響で運休が続くJR津軽線・蟹田-三厩間(28.8キロ)について、JR東日本は6日、鉄路を廃止して路線バスと乗り合いタクシーを活用した新たな交通体系に転換した場合、JR東が費用負担して運行本数を被災前から2往復増やし、7往復にするとの方針を示した。地元の高校生や観光客が利用しやすい時間帯に増便するという。運行本数の増加やダイヤ調整に対応しやすいなどバス、タクシーのメリットを強調した。

 同日、外ケ浜町役場で沿線自治体との検討会議を開き、JR東盛岡支社の担当者が(1)同社の全額負担でのバス、タクシーへの転換(2)自治体の費用負担を含む鉄路存続(3)同社の全額負担での鉄路復旧-の3案を乗客の利便性や費用面での持続性の観点から比較した結果を説明した。

 新たな交通体系は利用者が多い朝晩の通学時間帯はバス、日中はタクシーで公共交通網を維持する内容。今別町や外ケ浜町三厩地区から青森市に通学する高校生からの要望を受け、午後5時台に蟹田駅を出発するバスの便を新設するほか、観光客向けに北海道新幹線と接続するバス、タクシーを追加する。

 一方、蟹田-三厩間は利用者の減少が著しく収支が赤字のため、鉄路の場合はいずれも増便が難しく、5往復の現状維持とした。

 運賃はバス、タクシーの両方とも500円で、同区間の鉄道運賃(590円)より安く設定する。

 JR東は被災した設備の応急処置に約2億円を費やしており、鉄路の本格復旧にはさらに4億円かかる見通し。復旧後に赤字路線を同社単独で担うのも困難で、バス、タクシーへの転換が望ましいとの意向を4月の検討会議で自治体側に伝えていた。

 ただ、同日の会議では、今別町の太田和泉総務企画課長が「海側の一部地域がタクシーの運行エリアに含まれていなく、住民の理解を得るのは難しい」と指摘。線路を撤去して整備した専用道などにバスを走らせる「バス高速輸送システム(BRT)」についても、JR東が多額の初期投資が課題として選択肢から外したが、「災害関係の交付金を活用できないか」と再検討を促した。JRは自治体側の意見を踏まえ、次回の会議で協議を進める方針。

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