政府に国際協議本格化求める ILC推進協議会、総会で決議採択

ILC誘致実現に向けて決議を採択した東北ILC推進協議会の総会=仙台市

 【仙台支社】東北ILC推進協議会は6日、仙台市内のホテルで本年度の総会を開いた。ILC(国際リニアコライダー)の誘致実現に向け、日本政府に国際協議の本格化や次世代加速器開発への予算措置を求める決議を採択した。

 達増知事ら約100人が出席(オンライン含む)。共同代表の増子次郎・東北経済連合会長が「国際的な動きを踏まえ、関係機関と連携して誘致実現の取り組みを強化する」とあいさつした。

 決議は、国際共同で技術開発する「ILCテクノロジーネットワーク」の設置に向け、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)が中心となって欧米の加速器研究所に協力要請している最新動向も踏まえた。

 本年度は新型コロナウイルス禍の収束傾向を受け、国などへ対面での要望活動を強化。交流サイト(SNS)による情報発信、東北の企業の加速器産業への参入支援などを進める。

 講演会も開かれ、東京大カブリ数物連携宇宙研究機構の横山広美副機構長、誘致に取り組む研究者組織・ILCジャパン代表の浅井祥仁(しょうじ)同大素粒子物理国際研究センター長が登壇した。

 横山氏は、国民の納得感を高めるために「科学的妥当性や実現可能性について話し合うことが重要だ」と指摘。浅井氏は「世界が協力して造ろうという雰囲気づくりが鍵だ」と強調し、費用負担などの面で「世界が均等に貢献するという価値観への転換が大事になる」と述べた。

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