上越市大貫4殺人事件 発生1週間 容疑者逮捕に至らず 近隣住民、不安色濃く

 上越市大貫4の会社社長、中村礼治さん(62)が1日夜、何者かに殺害された殺人事件の発生から1週間が経過。県警は上越署に捜査本部を設置し、130人体制で容疑者の行方を追うなど捜査を進めているが、7日時点で逮捕に至っていない。
 中村さんは1日午後7時45分ごろ、近隣住民から「言い争う声がする」との通報で駆け付けた警察官により、自宅駐車場で意識不明の状態で発見。その後、搬送先の病院で死亡が確認された。警察によると、鈍器で強く複数回にわたり殴打されたことが致命傷になったとみられている。死因は外傷性くも膜下出血。県警は2日午後4時、上越署に捜査本部を設け、本格的な捜査を開始した。
 容疑者の性別は不明。中肉中背で、当時黒っぽい服装をしていたとみられている。逃走経路も定かではない。また、犯行に使用されたとみられる凶器は発見されていない。捜査本部は容疑者の行方とともに、金品を奪った強盗殺人の可能性がないかも含め、中村さん宅などを捜査している。
 警察や関係者によると、中村さんは自動車販売・整備・修理などを手掛ける会社の社長だった。中村さんが頸城区で経営していた自動車修理会社と取引があった上越市内の会社員は、自動車の修理持ち込みでたびたび中村さんと会っていた。「恰幅(かっぷく)がよく、ちょっと怖い風貌だが、ざっくばらんな人だった」と話す。
 一方で、中村さんには金銭をめぐるトラブルらしきものもあったという。中村さんを知る人は「複数の無尽講(複数の人が金品を『講』に払い込み、競りや抽選で給付を受ける互助形態)に参加しており、トラブルがあった可能性がある。無尽講の払込日は毎月末または1日だ」と証言する。また、別の関係者によると、中村さんが上越市外で金銭トラブルに遭っていたという。
 容疑者逮捕に至らないことで、住民の間では不安が募っている。事件現場付近に住む女性は「事件が起きて最初は不安、その後は慣れというか諦め。地域の子どもたちの『大丈夫』という声に救われている」と話す。また、近隣の飲食店では予約のキャンセルも相次いでいる状況という。

7日朝、現場付近を登校する小学生ら。警察や地域住民、ボランティアによる見守り強化も日常となっている(7日午前7時30分ごろ)

 児童、生徒の登校も厳戒態勢だ。現場に近い高田西小では、学校と保護者、地元のボランティアが協力して登下校の見守りを従来より強化。当面の間続ける見通しだが、いつまで継続するか悩んでいるという。上越署もパトカーや白バイを出して安全確保に努める。
 捜査本部は不審者や不審な車などの情報を求めている。問い合わせは上越署(電025・521・0110)へ。

© 株式会社上越タイムス社