かつて越中と飛騨を往来する際に利用されていた「旧飛騨街道」の一部を復活させるプロジェクトが、富山市細入地域で進んでいる。細入自治会連合会の観光対策専門部会が企画。同地域の庵谷と片掛を結ぶ古道で、秋ごろの開通を目指しており、関係者は「細入の歴史的シンボルとして子孫に伝えたい」と意気込んでいる。
旧飛騨街道は、江戸時代に米や魚、塩などを運ぶ交易ルートとして栄えた。現在、国道41号線として使われている道もある。復活させる古道は旧飛騨街道の西道で、庵谷と片掛を結ぶ小菅峠を通るルート。1886(明治19)年に馬車道が開通するまでは、人や牛などが歩いて山越えをしていたという。
プロジェクトは、県が中山間地で進める話し合い事業「細入みらい会議」で、目に見える形で地域の歴史を伝承したいと、細入自治会連合会の赤座久明さん(69)=庵谷=が発案。4月下旬に同連合会のメンバーら5人で古道を探索した。
古道は片道約2.5キロ。歩くと1時間半ほどかかる。探索時は草が生い茂り、ルートが不明確だったものの、地区に詳しい仲瀬仁久さん(91)=片掛=の案内で道を確定することができた。人の往来によって形成された深いくぼみや石垣などがあり、往時の人々の歩みを感じ取ることができる。
今後は安全に歩くことができるよう、草刈りの実施や案内看板の設置を計画している。赤座さんは「旧飛騨街道の雰囲気を体感できるよう、復元に力を注ぎたい」と話した。
18日は片掛公民館で学習会を開き、猪谷関所館元館長の加藤敏一さんが旧飛騨街道に関する講演を行う。晴天時は復元に取り組んでいる古道も歩く。参加無料。問い合わせは細入中核型地区センター、電話076(485)2111。