しけでも遠隔操作で餌やり サーモン自動給餌船、今別沖に国内初導入 日本サーモンファーム(青森県)

約200メートル離れたいけすへ、パイプを経由し遠隔操作で給餌を行うバージ船(手前)=7日午前、今別沖(本社ドローンから撮影)
津軽海峡などで「青森サーモン」を養殖する日本サーモンファーム(深浦町)は、今期からITを使って遠隔操作で自動給餌できるバージ船を導入した。奥のバージ船からパイプを伝い、圧縮空気で餌を供給。作業の効率化などを後押ししている=7日午前、今別沖(本社ドローンから撮影)
給餌は、いけす内の水中カメラの様子を見ながら遠隔操作で行う=7日、今別町

 津軽海峡などで「青森サーモン」を養殖する日本サーモンファーム(深浦町)は、今期(昨年11月末~今年6月)からITを使って遠隔操作で自動給餌できるバージ船(はしけ船)を導入した。今別・三厩海面養殖場で水揚げ作業が進む7日、パイプでつなげた巨大ないけすに遠隔操作で餌がまかれた。

 今別漁港(今別町)近くの沖合1キロには直径35~40メートルのいけす8基が浮かび、今期は約1300トンの水揚げが行われている。7日はいけすから約200メートル離れた、海上に停泊するバージ船が報道陣に公開された。

 遠隔操作は漁港近くの事務所などで行われる。海上では、サイロを搭載したバージ船から圧縮空気でそれぞれのいけすへと粒状の餌が運ばれた。従業員は事務所のモニターで水中の様子などを見ながら操作。餌の量を調節したりタイミングを操っていた。

 同社によると、バージ船を使った自動給餌システムは昨年12月に国内で初めて導入。これまでは作業員4、5人が漁港から船でいけすに向かい、4時間ほどかけて直接餌をまいていたといい、期間中は、しけで船が出せない日が40日ほどあったという。

 同社の岡村恒一会長は「海の危険な仕事が事務仕事になり、従業員の安全性が確保された。給餌効率が上がり魚の品質も向上、無駄な餌も減った。環境に負荷をかけない養殖をもっと推進していきたい」と話した。

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