コルベット、2023年限りでワークス活動を終了。以降はカスタマーチームへのサポートに注力

 ゼネラルモーターズ(GM)のモータースポーツ競技エンジニアリングディレクターであるマーク・スティローは、新型シボレー・コルベットZ06 GT3.Rを使用したフルファクトリー体制でのレース活動を行う「可能性はない」と述べ、2024年はカスタマーチームのサポートのみに焦点を絞るとSportscar365の独占インタビューで語った。

 これにより、過去25年間にわたってシボレーのファクトリーモータースポーツ事業として活動してきたコルベット・レーシングは、現在参戦しているIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTDプロクラスとWECのGTEアマクラスの今シーズンのレース活動をもって、ファクトリー部門を1度閉鎖することになる。

 しかしスティローは、コルベットが2024年もIMSA GTDプロクラスに2台のマシン参戦を続けることを認め、プラット・ミラー・モータースポーツとワークスサポートとの“ハイブリッド構造”のもとで運営される予定であると示唆した。

「我々は、GT3マシンを使用するカスタマープログラムに対してより注力していこうと考えている。そのため時間を要するかもしれないが、非常にクオリティの高いマシンを数多くデリバリーするということに集中するつもりだ」と説明する。

2024年の各レースへのコルベットの参戦計画については、「デイトナ24時間レースにはGTDクラスとGTDクラスに2台ずつの計4台でエントリーする予定だ。そしてWECのLMGT3クラスには、ふたつのスロットを確保することになるだろう。来年はおよそ8台のマシンが世界で稼働する」という。

「11月中には主要パートナーとなるであろうチームにマシンを届けることができるはずだ。すでに製作されている2台のテストカーを使い、それぞれのチームとともにテストを行う予定であり、現在はその内容についての契約を固めようとしている」

 またスティローは、1999年以来ワークスチームとして参戦してきたプラット・ミラー率いるファクトリーチームの状況について尋ねられると、現在と同様の体制での継続はなされないだろうと述べた。

「我々は、完全にファクトリーが資金を提供してコルベットのレースプログラムを行うつもりはない。しかし、カスタマーチームでドライブするドライバーは集めなければならないだろう。私たちはそのほかにもカスタマーチームに対してさまざまなサポートするつもりだが、そのスタイルはファクトリーが全額出資しているキャデラックのようにはならないだろう」

「しかし、彼ら(プラット・ミラー率いるファクトリーチーム)は多くの記録をもつチームだ。我々はまだどのチームとともにIMSAのGTDプロクラスへとエントリーするのかは決定していないが、夏の中盤あたりには最終決定が下されるだろう」

 最後にスティローは、ファクトリーチームでの参戦からカスタマーチームのサポートへと移行することは、同社にとって『大きな転換』となるが、コルベットの競争力を世界へより拡大するための決断であると語った。

「GMの観点からみれば、当社のマーケティングにとって、“クラシックな2台の黄色いコルベット”を走らせないというということは大きな変化と言えるだろう。それは我々の紛れもないワークスカーで、オリジナルの外観や雰囲気を持っているものだからだ」

「だが、それは以前の我々が20年間続けてきた方法だ。これから私たちはカスタマーモデル(GT3マシン)のサポートへと移行していくが、多くの場所でよりハイレベルなコルベットがレースをすることになれば、良い結果が期待できるはずだと信じている」

コルベット・レーシングの3号車シボレー・コルベットC8.R GTD 2023年IMSA第4戦ラグナ・セカ
耐久レース用に補助灯も備えるシボレー・コルベットZ06 GT3.R

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