静岡市清水区で栽培され、スーパーや青果店になかなか出回らないことから隠れた逸品として知られる「寺尾ビワ」。6月2日の記録的豪雨の影響などで、農家は過去に例を見ない不作に悩まされています。
<桑原信夫さん>
「例年は(ビワの)袋でいっぱいになっちゃうんですよ」
寺尾ビワを栽培する桑原信夫さん(76)の農園です。
<桑原信夫さん>
Q.こうやって落ちると売り物にはならない?
「ならない。ならないですね」
粒が大きく、濃厚な甘さが特徴の「寺尾ビワ」。静岡市清水区由比の寺尾地区の約20軒の農家が栽培。販売先が毎年決まっていてスーパーや青果店になかなか並ばないことから、隠れた逸品として知られています。
5~6月にかけて収穫を迎える「寺尾ビワ」。桑原さんの農園では、例年4万個ほどのビワが収穫されるのですが…、そこにあるのはビワの木だけ。肝心の実が見当たりません。
<桑原信夫さん>
Q.あそこになっているのが残っているビワ?
「そうです」
例年4万個のところ、23年に収穫できた「寺尾ビワ」は3000個。
<桑原信夫さん>
「8割も9割もダメになる年は(これまでに)なかった」
歴史的な不作の原因は、23年の冬の大寒波。2月に氷点下の日が続いたことでビワの実が凍結し、腐ってしまいました。さらに…。
<桑原信夫さん>
「これなんかがそうだと思いますね。大雨で。風と雨で落ちちゃったですね」
6月2日、県中部では2回にわたり線状降水帯が発生し、静岡市でも雨が降り続きました。厳しい冬をなんとか越えたビワは収穫を目前に地面に落ち、売り物にならなくなってしまいました。
<桑原信夫さん>
「たまんない。だけど自分も年齢だし自然には勝てないから。それを来年に生かしてやっていくしかないですね」
売り上げが落ちることよりもビワを待ち望んでいる人に届けられないことが悔しいと嘆く桑原さん。24年こそはこの農園いっぱいに実る「寺尾ビワ」を見たいと話しました。